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COLUMN

国際機関で働く日本人~アフガニスタンからのメッセージ~

2001年の米軍の攻撃によるタリバーン政権の崩壊以来、同国には日本を含む国際社会から巨額の復興援助資金がつぎ込まれてきました。それでもなお、アフガニスタンでは人口の40%もの人々が貧困層にあり、苦しい生活を強いられています。

私は2007年2月から国際移住機関(IOM)のカブール事務所で、難民や国内避難民の帰還、社会復帰を助ける仕事にかかわっています。最貧国アフガニスタンでの生活はあらゆる意味で大きな挑戦です。家族同伴は禁止され、同僚など援助関係者との共同生活となりますが、文化的背景や生活様式が違う人々と同じ屋根の下で暮らすことは楽しい反面、ストレスにもなります。カブールで電気が供給されるのは多くて1日数時間ですので、発電機に頼った生活となります。騒音や維持経費が大きいことに加え、容量が小さく頻繁に壊れるため、暗やみの中を懐中電灯で過ごしたり、氷のように冷たいシャワーを浴びたりせざるを得ないことが何度あったでしょうか。

また近年の治安の悪化によって、行動規制は厳しくなる一方です。防弾車による移動しか許されておらず、警備員なしでは野菜すら買いに行けません。爆発音を間近で聞くことは日常茶飯事ですし、友人がタリバーンによる銃撃に遭ったり誘拐されたこともありました。

このような困難が存在する一方、助けを必要とする人々に少しでも貢献できることをうれしく思っています。オバマ政権の誕生により、アフガニ スタンの今後の行方にますます注目が集まっています。テロだけではなく、貧困との戦いの最前線でもあるアフガニスタンで働くことにやりがいを感じ、アフガニスタン人のたくましさに勇気付けられる毎日です。

IOMカブール事務所 プロジェクト案件形成・広報担当官  茅 和伊(かや かつい)


IOMの生計支援を受けて仕立て屋となった女性と筆者

IOMの生計支援を受けて仕立て屋となった女性(写真左側)と筆者(2007年、カブールにて)

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