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COLUMN

環境配慮をあちこちで~G8北海道洞爺湖サミット~

G8北海道洞爺湖サミットは、あらゆる面で環境配慮の図られたサミットだった。主要テーマが地球温暖化問題であり、低炭素社会をどう実現していくか、具体的に貢献する環境技術を打ち出すとともに、日本の自然観や文化を発信する良い機会となった。

国際メディアセンター(IMC)の建築、運営面での省エネ・省資源の試み、日本の環境技術の粋を集めた「環境ショーケース」の展示、会場間の移動に次世代自動車を採用するなど、各所に意欲的な取組が見られた。このようにCO2を極力削減した上で、最終的に排出されるCO2は排出権の購入やCO2削減プロジェクトなどを通じて相殺(カーボン・オフセット)された。

特に注目されたのは、IMCの雪冷房である。展示室の床面をガラス張りにして貯蔵する雪を見せ、建物そのものが省エネに徹していること、部材のほぼすべてを再使用、リサイクルすること、壁面緑化や薄膜太陽電池なども話題を呼んだ。

「環境ショーケース」では、次世代自動車や燃料電池、省エネ技術や水処理技術など、実物を交えて最新の環境技術を展示した。展示スペースの半分は、こうした技術を培ってきた日本の自然観や感性を「地球茶室」と称して演出した。地球温暖化の現状が直感的に分かるデジタル地球儀「触れる地球」が並び、大型スクリーンに月観測衛星かぐやの「月面からの地球の出」シーンが映し出されたのは印象的であった。福田首相を含む訪問者をロボットASIMOが案内したのもここである。

屋外でも、環境負荷を抑えたエコ住宅の展示、家庭用燃料電池を稼動させての「足湯」体験、燃料電池車やハイブリッド車等次世代自動車の試乗などが紹介された。各国首脳夫人もこうした展示や次世代自動車の試乗を楽しんだ。

各国の記者はこの「環境ショーケース」から世界に向けてニュースを配信した。首脳会議の外でも、環境をテーマに掲げた今回のサミットは、大きな成果が残せたと思う。余談だが日本古来のエコグッズとして会場で配布した団扇(うちわ)は大人気で、2,000枚もの団扇が世界へ広がっていった。


「環境ショーケース」展示計画担当
(株)アーバン・コミュニケーションズ 環境プロデューサー  森 高一


写真・雪冷房システムを備えたメディアセンターと環境に配慮した最新技術が集められたエコ住宅

雪冷房システムを備えたメディアセンターと環境に配慮した最新技術が集められたエコ住宅


写真・省エネ技術を培ってきた日本の自然観や感性を演出した「地球茶室」

省エネ技術を培ってきた日本の自然観や感性を演出した「地球茶室」


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