エルサルバドルでは、中南米諸国で初めて国営教育・文化テレビ局を通じ、2003年10月から「NHKプロジェクトX」の放送を開始しました。スペイン語に翻訳された「NHKプロジェクトX」39話に加え、各種の映像を用いて毎週日曜日夜8時の時間帯(水曜夜9時30分再放送)に、日本の技術、日本の経済技術協力、日本事情、日本文化を紹介する番組として、これまで116話放送されました(2007年末現在)。この番組には細野昭雄駐エルサルバドル大使や日本大使館書記官が毎回解説者として出演し、放送内容に関係するエルサルバドル人のゲストを招いて、日本を一層身近に感じてもらえるように取り組んできました。特に番組で紹介される日本人の仕事にかける情熱や責任感、難題へ挑戦しひたむきに努力する姿は、勤勉な国民性を有するエルサルバドル国民の共感を集め大変な人気を博しています。
2005年に日本とエルサルバドルが外交関係樹立70周年を迎えた際には、これを記念して、1974年度円借款供与(57億円)によって建設されたサンサルバドル国際空港の建設秘話に関するエルサルバドル版「プロジェクトX」を制作し、上記番組において放送しました。この空港建設後期、エルサルバドルでは、外国人を含む要人の誘拐や抗議デモが多発し、内戦に向かって情勢が悪化していました。空港建設工事を請け負った日本企業関係者は、エルサルバドル人労働者と野球等を通じて交流と信頼関係を深め無事工事を完了させ、内戦真っ最中の1980年1月に開港したことが関係者の証言や映像を用いて紹介されました。サカ大統領もこのエルサルバドル版「プロジェクトX」に出演し、サンサルバドル国際空港が同国の発展に大きく貢献していることを高く評価し、日本の協力に謝意を表明しました。
エルサルバドルに在住する日本人が街角で見知らぬ一般の市民から「『プロジェクトX』に感動した。日本人を尊敬する。」、「エルサルバドルは日本のように発展したい。日本から多くのことを学びたい。」と声をかけられることがあるそうです。また、日本大使館や国営教育・文化テレビ局には、学校や会社の教育教材として使いたいので番組を再放送してほしいとの要望が多く寄せられています。「NHKプロジェクトX」といったテレビ番組を通じてこれまで紹介される機会のなかった日本人の姿が広く伝えられたことで、日本社会や日本人に対する理解が深まったと実感しています。
エルサルバドル版「プロジェクトX」撮影の様子
(左より司会者、細野駐エルサルバドル大使、エルサルバドル環境省幹部、元エルサルバドル外相) |
在エルサルバドルODAタスクフォースが中心となって作成した広報用映像(番組にて放映) |
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