海外における邦人医療支援ネットワーク |
|||
邦人医療支援ネットワーク(Japanese Medical Support Network:通称ジャムズネット)の構想は2005年8月、在ニューヨーク日本国総領事館に仲本医務官が着任され、コロンビア大学に私を訪ねてこられた時に端を発しています。常々、日本人支援団体がニューヨークに多く存在しているにもかかわらず相互の連携が少ないと感じていた私はその旨を率直に申し上げました。仲本医務官はこれに賛同され、総領事館を中心に支援ネットワーク構築に取り組まれました。 この結果、2006年1月ジャムズネットが発足し、2006年1月12日には第1回会合が開催され、それ以来、3か月に1回程度の頻度で会合が開催されています。また、在ニューヨーク総領事館のホームページにネットワーク参加団体のリストが掲載されると参加団体相互の連携が加速され、日本人コミュニティに有益な活動が活発に行われるようになりました。講演会においては、緊急事態対応や高齢化問題などをとりあげたほか、2007年6月の「Japan Day@セントラルパーク」及び同年9月の「NY日系人会100周年記念シニアウィーク」への貢献は大きな成果となりました。そのほか、ジャムズネットの活動は在ニューヨーク総領事館のホームページ(http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/g/05.html)で紹介されています。 ジャムズネットは邦人のニーズを踏まえ成長を続けています。2007年3月には部会の一つとしてメンタルヘルスネットワークが発足しました。また、日本人コミュニティの健康に寄与する団体であれば、できる限り参加してほしいと考えており、2007年12月現在、参加団体は21団体に至っています。そのうち、大きな団体としては「NY日系人会(Japanese American Association of New York)」がありますが、中小の団体も多く、また、メンタルヘルスや子女教育など様々な分野の支援団体も参加しています。その一つである「米国日本人医師会(Japanese Medical Society of America)」では企業からの寄付金を募る活動をしていますが、この資金の一部を利用し、有益な活動はしつつも資金的に恵まれない団体を支援する“Community Outreach Program”を実施しています。 このように、ジャムズネットでは、在ニューヨーク総領事館の協力を得つつ、日本政府、NPO、企業の三者が共に日本人コミュニティへの支援という同じ目的のために連携・協力する体制を構築することができました。海外における邦人への支援にこうした官民の取組が必要であることは世界中どこでも同じであろうと考えます。それぞれの国・地域においても日本人支援のネットワークが構築され、国・地域ごとのネットワークが有機的に結びつき、定期的な情報交換を通じて同じ志を持つもの同士が相互に学び、地域の日本人コミュニティに対するより効果的な支援の在り方を共に考えることにより、世界各地の日本人コミュニティの安心と安全を促進できることを望んでおります。さらに、こうした活動を通じ、団体としても企業や国際/国内機関などから支援を受けることも可能となり、より一層成長することにつながるものと期待しています。
邦人医療支援ネットワーク代表兼米国日本人医師会会長 本間 俊一 |