第5章 世論の理解と支持を得た日本外交


(2)情報の収集・分析体制の強化

 国際テロ問題や北朝鮮、イランを巡る情勢などに見られるように、流動性と不透明性をますます高めている近年の国際環境の中で、日本が様々な課題に迅速に対応しつつ、能動的かつ戦略的な外交を展開していくためには、その基礎として、幅広い人脈を開拓するとともに、多様で広範な対外情報の収集を行い、深い専門的知見に裏打ちされた分析を行うことが必要不可欠である。

 外務省では、2005年に、町村外務大臣の下に設置された「対外情報機能強化に関する懇談会」の提言(注1)も踏まえ、在外公館の情報収集体制強化のための人員拡充、外部・民間の専門家が有する知見の一層の活用、公開情報のより有効な活用、関連インフラや研修、秘密保全措置等の整備など、外務本省及び在外公館における対外情報収集・分析能力の抜本的強化に継続的に取り組んでいる。

 外務省の対外情報機能の強化は、大局的見地から、着実に進めていくことが必要な中長期的な課題である。今後、上記の取組とともに分析要員の人員拡充及び専門性の更なる向上、そのための組織的かつ体系的な教育・訓練の充実、情報防護措置のなお一層の強化等についても、引き続き前向きな取組を進めていく必要がある。




<< 前の項目に戻る 次の項目に進む >>