第5章 世論の理解と支持を得た日本外交 |
(1)予算、機構・定員面での努力 外務省の2006年度予算においては、国際社会との協力を通じ、日本の国益の確保を目指すという観点から、(1)「国民と共にある外交」(安全保障政策や邦人保護・領事政策等の我が国・国民の安全の確保と日本企業支援や経済連携協定(EPA)の推進等の我が国・国民の繁栄の増進)、(2)「自由で豊かな世界を目指す外交」(アジアにおける安定的協力関係の強化、国連改革の推進、貧困・平和・地球規模問題等への取組)、(3)「世界に発信する機動的外交」(戦略的な情報発信とパブリック・ディプロマシーの強化、情報収集・分析機能の抜本的強化、外交実施体制の強化)を三本柱とする総額6,912億円(対前年度比2.2%減)を計上した。 また、2006年度の補正予算では、(1)東アジア青少年交流、(2)日・アセアン包括的経済連携協力基金、(3)イラク復興開発無償援助、(4)世界エイズ・結核・マラリア対策基金、(5)鳥及び新型インフルエンザ対策、(6)ドミニカ移住者に対する特別一時金、(7)国連及び国連平和維持活動(PKO)分担金、などについて合計1,833億円を計上し、緊急に手当する必要が生じた事項に対応した。 本省の機構については、一層戦略的な海外経済協力を実施するため、また、包括的な改革が進展しつつある国際連合、歴史的な転換期にあるアジア・大洋州地域、さらに、日本として積極的に推進してきているEPA交渉等に関する外交実施体制を強化するため、8月、経済協力局の国際協力局への改組、アジア大洋州局における南部アジア部の新設、地球規模課題審議官の設置、総合外交政策局等の課の再編、国際法局における経済条約課の新設等の機構改革を実施した。また、地方との連携体制強化のため、大臣官房総務課に地方連携推進室を設置した。在外公館については、公館の新設・廃止ともに実施されず、2006年度末における在外公館(実館)数は、大使館117、総領事館65及び政府代表部7の合計189となっている。この数字は、主要国と比べても非常に少ないものであり、2007年度には、6大使館・2事務所の新設など、在外公館の大幅な増強を行う予定である。 定員の増強については、近年の重点事項である在外公館の警備・治安対策や在留邦人保護活動業務の強化に加え、「対外情報機能強化に関する懇談会」(後述)での提言も踏まえ、対外情報収集・分析体制の強化に取り組む必要があるとの認識も高まった。 これを踏まえ、2006年度には、新たな定員合理化計画が開始されるなど、政府全体での厳しい予算・定員事情の中で、在外公館の情報収集強化のための人員体制強化及び外務本省の情報分析担当官の増員を含む、外務本省8人、在外公館11人の合計19人の増員を行い、定員数は合計5,453人(外務本省2,167人、在外公館3,286人)となった。しかしながら、この定員数をもってしても、他の先進諸国、特に英国・ドイツの7,500人体制と比しても決して十分とはいえず、外交課題が山積する中で、依然として人員不足は否めない状況にある。外務省は、引き続き定員の増強を図る一方、事務合理化等の努力を通じ、既存定員の再配置を行っている。こうした状況を踏まえ、2007年度には、合計51人の増員を行うとともに、在外公館の現地職員等の実質的な人員を合計100人増員する予定である。 |
|