第4章 国際社会で活躍する日本人と外交の役割


(2)海外における日本人の安全対策に関する取組

 2006年の日本人海外渡航者は前年より0.8%増加し、史上2番目の1,753万5,000人(推計値)に達し、さらに2007年以降には団塊の世代の多くが定年を迎え、潜在的な渡航人口に合流すると考えられている。このため、海外における多様化する危険と危機から国民を守るためには、在外公館の支援の体制強化に加え、国民一人ひとりが「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、危険を予測し、必要な安全対策を講じることがますます重要となっている。外務省では、引き続き、より細やかな現地情勢の分析を行い、感染症を含めた安全対策に関する情報を提供するとともに、国民がいかなる危険に巻き込まれた際にも機動的に対応し得る援護体制の整備・強化を推進している。

▼「渡航情報」の体系及び概要

「渡航情報」の体系及び概要

海外安全キャンペーンのポスター

▲海外安全キャンペーンのポスター

外務省海外安全相談センター

▲外務省海外安全相談センターで、海外渡航を予定している国民の相談に応じている職員

 具体的には、海外安全ホームページ、海外安全情報FAXサービス、最新渡航情報メールを通じて、海外における具体的危険の傾向及び対策に関する渡航情報を提供するとともに、総合的な安全対策パンフレットである「海外安全虎の巻」のほか、テロ対策、脅迫事件対策、誘拐対策等各種の想定される事案ごとに、国民のニーズ・関心に応じてきめ細かに対応し得るよう、外務省海外安全相談センターにおいて直接相談に応じている。

 なお、夏期旅行シーズン前の7月1日から31日まで、若い世代の海外渡航者に焦点を当て、若者に人気がある“オリエンタルラジオ”をイメージキャラクターとして「海外安全キャンペーン」を実施し、イベント及び特別WEBサイト等を通じ、双方向の意見交換や啓発活動を行った。

  また、海外における援護体制・基盤の強化として、大規模緊急事態の発生に備え、9月に全米・カナダ邦人安否確認システムを立ち上げたほか、国民からの緊急連絡にも24時間対応し得る体制、災害情報緊急通報システムの拡充、緊急時に迅速かつ機動的な展開を可能とする外部専門家を含めた人員・資機材等の整備を進めている。さらに、海外におけるセーフティネットを構築・強化するため、本邦及び海外において官民の連絡・協議会等を開催し、海外における安全対策について国民とともに考える努力を継続している。




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