(1)多様化する危険と危機
2006年においては、東ティ モール、タイ、レバノン(ヒズボラ)・イスラエル間等における政変、クーデター、戦争等に伴う邦人の大型退避あるいは退避の検討を要する事案が多く発生した。テロや誘拐の脅威も依然高く、インドのムンバイにおける列車爆破事件や英国での航空機爆破計画の発覚に見られるように、テロの脅威が継続するとともに、中東・アフリカ地域を中心に外国人を対象とした誘拐事案も多く報告された。また、ジャワ島中部地震・津波のほか、火山噴火、豪雨・強風等の気象災害など、世界各地で大規模自然災害が発生した。鳥インフルエンザは、ヒト感染の症例・地域とも年々拡大する中、海外における医療インフラ整備の格差もあり、海外の邦人にとって大きな脅威となっている。
このほか、日本人海外渡航者数の年齢層、渡航形態にも多様化が見られ、特に年齢層の高い渡航者にとっては、健康管理上の準備不足等による心身の事故・疾病が増加している。また、海外事情や外国法令知識の不足から、「いかさま賭博」や「国際詐欺」等の被害、あるいは麻薬、文化財や希少動物の不法持出し、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待等により拘禁されるケースが増えている。
▼2005年の海外邦人援護件数の事件別・地域別内訳
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