5.投資協定や社会保障協定等を通じた日本企業の利益増進
日本の投資家や投資財産を保護し、より自由に投資活動が展開できる環境を整備することは、日本経済にとってますます重要となっている。日本はこれまで14か国と投資協定(注8)を締結し、中でも韓国、ベトナム、シンガポール、メキシコ及びマレーシアとは投資の保護に加え、投資の自由化を中核とした先駆的な投資協定を締結した。サウジアラビアとの間でも、両国経済関係の活性化に向け投資協定が交渉中である。10月には第1回目の交渉を行い、早期の締結を目指している。また、近年、日本が積極的に進めている各国との経済連携交渉においても、投資の自由化の促進が主目的の一つとされており、7月に発効した日・マレーシア経済連携協定や9月に署名された日・フィリピン経済連携協定においては、両国間の投資促進に関する規定が盛り込まれている。また、日中韓三国間でも、投資を促進する日中韓投資協定の交渉開始を決定した。多国間での投資ルールの策定は、WTOのドーハ・ラウンドでは交渉が見送られたが、日本は引き続きAPECなど地域枠組みにおいて、投資の自由化・円滑化を促進する取組に積極的に参画している。
一方、社会保障協定は、社会保険料の二重負担や掛け捨ての問題を解消すること等を目的としており、海外に進出する日本企業や国民の負担を軽減し、ひいては相手国との人的交流や経済交流を一層促進する効果が期待される。2006年にはカナダとの社会保障協定が国会で承認されたほか、ベルギーとの協定が2007年1月1日に発効することとなった。また、オーストラリアとの間でも協定の大筋合意に至ったほか、オランダ、チェコ、スペインともそれぞれ交渉または予備的な意見交換を開始している。 |