第3章 分野別に見た外交 |
(5)文化協力
日本は、文化の多様性の維持や文化遺産の保護に関する国際協力を実施している。特に途上国の文化遺産については、6月に「海外の文化遺産国際協力推進法」が施行され、あわせて「文化遺産国際協力コンソーシアム」を立ち上げ、官民学が一体で協力する基盤を整える等、文化協力を更に積極的に進める体制が整った。 (イ)二国間の文化協力(一般文化無償資金協力・草の根文化無償資金協力) 2006年は、一般文化無償資金協力として全世界で24件実施した(総額18.5億円) (注7) 。また、NGO等草の根レベルを対象とした小規模できめ細かな文化協力である草の根文化無償資金協力を、全世界で31件実施した(総額2億円) (注8) 。 (ロ)国連教育科学文化機関(UNESCO)を通じた文化協力 日本は、海外の文化遺産の保存修復に関する協力の一環として、ユネスコに有形・無形それぞれの文化遺産保護を目的とした日本信託基金を設置しており、カンボジアのアンコール遺跡やアフガニスタンのバーミヤン遺跡保存事業を、日本の専門家が中心となり、現地の人々と力を合わせて実施している。さらに、主にアジア・アフリカ地域を中心に、音楽・舞踊等の伝統芸能、伝統工芸等の無形文化遺産についても、次世代に受け継ぐための事業を支援している。 また、持続可能な開発のためには教育が重要な役割を担うとの認識から、日本が国内NGOと協力して提案した「持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」が2005年1月から始まったが、ユネスコがその主導機関(リード・エージェンシー)として活動している。 ![]() ▲ユネスコによるバーミヤン遺跡保存事業(日本人専門家と現地スタッフによる考古学調査)(アフガニスタン・バーミヤン) (c)NRICP (ハ)無形文化遺産の保護に関する条約 無形文化遺産条約は、2003年のユネスコ総会で採択され、2006年4月に発効した(日本は3番目の締約国)。この条約により、いわゆる有形の文化遺産に加え、伝統芸能や伝統工芸等の無形文化遺産も国際的に保護する体制が整った。無形文化財の保護において豊富な経験を持つ日本は、この条約の作成に当たっても牽引役となり、条約発効後は、条約に基づき設置された政府間委員会の委員国に選出された。2007年には第2回政府間委員会を日本において開催の予定である。
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