第3章 分野別に見た外交 |
第3節 海外広報と文化外交 【総 論】 近年、国際社会においては、インターネットやマス・メディアの発達、各国における民主制度の進展等を背景に、外交政策に及ぼす国民の影響力が高まっている。この中で、政府の外交活動においても、相手国の政府だけではなく、相手国国民に向けた直接の働きかけが重要になっている。政府としては、日本に対する理解と親近感を高めるため、海外広報と文化交流を総合的に展開し、相手国国民に対して日本の外交政策や諸事情、文化の魅力等を効果的に発信しつつ、各国国民との交流を促進するよう努めている。 外務大臣の諮問機関である「海外交流審議会」では、このような各国の国民を対象とする外交(パブリック・ディプロマシー)の重要性を考慮して3月から「我が国の発信力強化のための施策と体制」をテーマとして、これまで、テレビ国際放送の強化、日本語教育及びポップカルチャーの活用、近隣国との関係強化のための広報・文化交流の在り方等について議論を行い、効果的な広報文化交流の方法を模索している。 また、麻生外務大臣は4月に政策スピーチを行い、文化を外交に活用することの有用性を指摘しつつ、(1)新進気鋭の外国人の漫画家に対する賞の創設、(2)日本の優れたアニメ作品を「アニメ文化大使」として海外で紹介する試み、(3)文化交流インターンの導入-を提案し、現在実施に移しつつある。 加えて、近年、日本は各国との間で「周年事業」の実施に合意し、集中的に交流事業を実施することにより、効果的に相手国との相互理解増進に取り組むといった工夫を行っている。2006年については、「日豪交流年」等を実施し、2007年には中国、インド等と周年事業を実施することが決まっている。 |
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