第3章 分野別に見た外交 |
第2節 国際社会の繁栄の確保に向けた取組 【総 論】 2006年の世界経済は、力強く成長した。米国経済は住宅市場の調整のため成長は緩やかになっているものの拡大を続け、ユーロ圏経済は着実に回復した。中国等の新興諸国は引き続き成長が著しく、世界経済の成長を牽引した。日本経済も、景気回復が長期化し、デフレからの脱却が視野に入るなど、経済成長が底堅いものとなっている。こうした中、日本は日本経済と世界経済の更なる強化のため、以下の5つの重点課題を柱とする総合的な経済外交を展開している。すなわち、(1)WTOドーハ・ラウンド最終妥結に向けた交渉を基軸とする多角的貿易体制の維持・強化、及びこれを補完する二国間・地域的な自由貿易協定・経済連携協定の戦略的推進を進める、(2)模倣品・海賊版拡散防止のための取組を含む知的財産権保護の強化、(3)エネルギー・食料などの経済安全保障の強化と海賊対策を含む海洋経済権益の確保、(4)G8、OECD、APEC、ASEM等の多国間枠組み、北米・欧州等との二国間枠組みでの経済関係強化、(5)日本民間企業の国際競争力や日本経済の足腰の強化―である。 日本は、これら諸課題解決のため、国際社会の繁栄に向けた取組に積極的に参加しつつ、日本の経済的利益の促進に努めていく考えである。 なお、日本は、2003年にInvest Japan(インベスト・ジャパン)キャンペーンを立ち上げて以降、政府一体となって対日投資の促進に努めており、外務省においては在外公館の積極活用や日本の関係機関と連携した広報活動に貢献している。その結果、2005年末の対日直接投資残高は約11.9兆円に達した。 |
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