第3章 分野別に見た外交


(1)刑事分野における国際的な取組

 政府は現在、国際社会の関心事である最も重大な犯罪を犯した個人を国際法に基づき処罰するための常設の国際刑事法廷である国際刑事裁判所(ICC)への加盟に向けて必要な作業を進めている。日本のICC加盟は、国際社会において、最も重大な犯罪の不処罰を許さないという決意を国際社会に対して明確に示すのみならず、国際刑事裁判の制度づくりや運用にアジアからの重要なプレーヤーとして参画し、ICCをより普遍的な組織にしていく上でも大きな意義を有する。12月には、ICCのキルシュ所長を日本へ招聘し、国内におけるICCへの理解を促すとともに、ICC及び国際社会に対し、日本がICC加盟に向け大きな努力をしていることを強く印象付けた。

 また、刑事事件の捜査、訴追等に必要な証拠の提供等を条約上の義務として規定する刑事共助条約については、6月に米国、12月に韓国との間で条約の批准書の交換を行った。また、香港、ロシア及び中国との間でも交渉を行っており、刑事分野における共助の一層確実な実施及び効率化、迅速化に向け努めている。




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