第3章 分野別に見た外交


(1)国連の場における取組

 3月、国連が世界の人権問題により効果的に対処することを目的として、人権理事会が創設され、日本は第1回人権理事会理事国選挙(5月)で当選した。6月の人権理事会第1回会合ハイレベル・セグメントでは人権を担当する山中燁子外務大臣政務官が発言し、「人権の主流化」への支持を表明するとともに、拉致問題解決を含む北朝鮮の人権状況改善への国際的連携の強化を訴えた。また、強制失踪条約(仮称)が12月の国連総会本会議で採択され、同条約交渉に積極的に参加してきた日本としては高く評価する。



▲人権理事会第1回会合でスピーチを行う山中外務大臣政務官(6月19日、スイス・ジュネーブ)

 9月に行われた人権理事会第2回会合には齋賀人権担当大使が出席し、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況や女性、児童といった人権問題に関して発言するとともに、国連の特別報告者との対話に積極的に参加した。また、日本は、人権理事会第3回会合(11月~12月)のほか、深刻な状況等に応じ理事国の要請に基づき随時開催される特別会合(7月パレスチナ、8月レバノン、11月パレスチナ、12月スーダン)等にも積極的に参加した。

 12月には国連北朝鮮の人権状況特別報告者が訪日し、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況について調査を行った。人権理事会の具体的な作業方法等は引き続き協議中であるが、日本は「対話と協力」の原則の下、世界の人権状況の改善により効果的に対処できる人権理事会の機能強化に向け、積極的に貢献していく考えである。

 10月から11月にかけて開催された第61回国連総会第三委員会では、国別やテーマ別の人権問題に関して議論が行われ、50本以上の決議が採択された。日本は、拉致問題への言及も含む「北朝鮮の人権状況」決議をEUとともに提出し、採択に向けた働きかけを積極的に行った。その結果、拉致問題は国際的懸念事項であり、他の主権諸国家の国民の人権を侵害する、(北朝鮮が)関連決議を履行するよう要請する目的のための国際的連携を強化する必要性がある等、前年より強い文言の決議が採択された。また、同決議は、国連総会本会議においても、前年よりも多数の支持を得て採択された。

 さらに、2005年9月の首脳会合「成果文書」において国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の強化が決定され、日本は2006年度分としてOHCHRに約1,780万円を拠出した。また、12月には自由権規約の第5回政府報告を国連に対し提出した。




<< 前の項目に戻る 次の項目に進む >>