第3章 分野別に見た外交 |
4.国 連 【総 論】 国際連合(国連)は、唯一の普遍的かつ包括的な国際機関であり、総会や安全保障理事会(安保理)をはじめとする諸機関の活動を通じ、平和と安全の維持を図るとともに、諸国間の友好関係を発展させ、経済的、社会的、文化的、人道的性質の問題や人権に関する国際協力を達成することを目的としている。今日の国際社会は、グローバル化の急速な進展による構造的変化、テロ、大量破壊兵器の拡散、貧困、感染症等、個別の国家・地域のみでは対応困難な多くの課題に直面しており、国連の役割は以前にも増して重要となっている。日本は、国際協調を外交の主要な柱の一つに位置付け、国連を通じた積極的な外交を展開するとともに、人的・財政的貢献を行っている。 2006年は日本にとって国連加盟50周年という節目の年であった。5月にはアナン事務総長が来日し、政府首脳をはじめとする各関係者との意見交換のほか東京大学での講演を行った。また、12月には国連加盟50周年を記念する式典が行われ、そのほかにも数々の記念行事が開催された(コラム「日本の国際連合加盟50周年」参照)。
日本は、2005年1月から2年間、ブラジルと並んで加盟国中最多となる9回目の安保理非常任理事国の任期を務め、北朝鮮、アフガニスタン、東ティモール、イランの核問題、レバノン等国際の平和及び安全の維持にかかわる議論に力を発揮してきた。特に、北朝鮮については、7月の弾道ミサイル発射、10月の核実験実施発表を受け、2度の安保理決議の採択に向けた議論を全面的に主導した。また、安保理議長国を務めた10月には、他の理事国とともに韓国の潘基文外交通商部長官を次期事務総長に任命する総会への勧告を行い、これにより35年ぶりにアジアから事務総長が選出されることとなった。これらの貢献は、日本が国際の平和と安全の維持のため、安保理においてより大きな役割を果たすにふさわしい存在であることを示すものであった。 |
|