第2章 地域別に見た外交 |
(1)経済関係の再活性化
(イ)経済連携協定(EPA) 2月に開始された日本とチリのEPA交渉は9月に大筋合意に達し、11月の日本・チリ首脳会談にて両首脳は交渉の終結を表明した。また、日・メキシコEPAについては、9月に鶏肉、牛肉、オレンジ生果の関税割当の枠内税率等について合意した。2005年4月の協定発効以来、日・メキシコ間の貿易総額は前年度比で約38%増加、2005年1月~12月の投資額も前年比で約3.4倍 (注5) に達するなど、日・メキシコ間の経済関係は飛躍的に発展した。
(ロ)日本・中米ビジネスフォーラムの開催 9月1日及び2日、エルサルバドルにおいて、中米地域全体を対象としたビジネスフォーラムが開催され、官民合わせて約500名が参加した。日本からは合計44社(約80名)の企業関係者が参加し、パナマ運河拡張計画、中米統合の進展、DR‐CAFTAの影響等について中米関係者と意見交換を行ったほか、個別の商談が多数行われ、日本と中米諸国の経済関係発展への重要な一歩となった。 (ハ)新しい分野での取組 6月、ブラジル政府は、海外で初めて、新たに導入する地上デジタル・テレビ放送に日本方式の採用を決定した。今後、日本企業がテレビ受像機の製造で有利に立ち、送信機、携帯端末等の周辺機器や、ソフトウェア等の販路を拡大することが期待されている。また、地球温暖化対策において、京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM) (注6) 分野への協力も進んだ。特にブラジルとの間では、石油代替エネルギーとして注目されるサトウキビを原料としたエタノール生産や輸出拡大に向けて複数の合弁企業が設立され、4月には両政府間で日伯バイオマス・ワーキング・グループ第1回会合が開催された。また、日本は中南米地域の安定的な経済発展に資する各種インフラ統合を支援しており、その一つとして、エルサルバドルとホンジュラスの国境に架かる「日本・中米友好橋」の建設を支援している。今後、10月にパナマの国民投票によって承認されたパナマ運河拡張計画や中米地域のインフラ統合計画等の進展も見込まれる。 |
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