第2章 地域別に見た外交


(1)カナダ情勢

 1月に行われた総選挙では、連邦政府補助金の不正使用疑惑などにより、自由党の支持が低迷する中、保守党は有権者の支持を拡大し、約12年ぶりに自由党から政権を奪回した。保守党は、308の下院議席数のうち124議席を有する少数政権となり、2月6日、ハーパー首相が就任し、新内閣が発足した。

 ハーパー政権は、選挙公約である重点5分野 (注5) の着実な実施を優先事項としており、連邦・州の財政不均衡問題にも積極的に取り組んでいる。同政権は内政重視ではあるが、外交面では、自由・民主主義等の価値観の重要性を強調し、国際協力及び国防能力の強化に積極的に取り組んでいる。特に、アフガニスタン南部地域に約2,300人のカナダ軍を派遣するなど、同地域におけるテロ掃討・復興支援に積極的に貢献している。また、対米関係を重要な施策の一つとしてとらえており、軟質針葉樹製材を巡る両国貿易問題の解決策に合意するなど具体的な成果を上げている。

 カナダ経済は、米国経済の回復などにより順調な成長を示した2005年(GDP成長率2.9%)に続き、国内需要や輸出拡大を背景に、2006年も堅実な成長(GDP成長率2.8%(見通し))を続けている。また、財政面では、7月1日、1%の減税を実施したほか、1997年度に均衡財政を達成して以来、2005年度まで9年続けて財政黒字を計上しており、健全な財政運営が続いている。




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