第2章 地域別に見た外交


(3)スリランカ

 政府とLTTEとの間での直接協議が、2月にジュネーブで3年ぶりに開催され、停滞していた和平プロセスの進展が期待された。しかしその後、LTTEが4月、6月と続けて直接協議への参加を直前で拒否し、7月末に東部での灌漑用水門を巡る問題を契機として両者の軍事衝突が激化すると、20万人を超える国内避難民や多数の人権侵害事件が発生し、停戦合意は崩壊の危機に直面した。そして、10月末にジュネーブで直接協議が実現したものの、次回協議の日程につき合意に至らなかった。11月末の「英雄の日」演説でプラバーカランLTTE指導者が「政治的独立を求める選択肢しか残されていない」旨を宣言し、12月には大統領の実弟である国防次官を狙った自爆テロ事件を受けて、政府が新たな緊急事態令を公布し、LTTEがこれに反発するなど、和平プロセスに好転の兆しは見えていない。

 日本は、「平和の定着」への貢献という観点から、スリランカの和平プロセスを積極的に後押ししてきた。明石康政府代表は5月に東京でスリランカ復興開発に関する東京会議4共同議長会合を主催したほか、4月、9月、11月に共同議長会合に出席し、また、5月、10月にスリランカを訪問して和平実現に向けた粘り強い活動を行っている。

 スリランカからは5月にサマラウィーラ外相が来日し、日本からは7月に遠山外務大臣政務官がスリランカを訪問した。




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