第2章 地域別に見た外交


(4)バングラデシュ、ネパール、ブータン、モルディブ

 日本とバングラデシュの関係では、7月下旬に、麻生外務大臣が、外務大臣としては19年ぶりにバングラデシュを訪問し、カーン外相との会談で経済協力、民主化支援をはじめ、地域・国際情勢を含む幅広い分野での両国間の協力関係の強化につき協議した。バングラデシュ国内では、10月27日、国会議員の任期満了に伴い議会が解散され、カレダ・ジアバングラデシュ民族主義党(BNP)政権が退陣し、同29日に発足した選挙管理内閣が総選挙実施に向け準備を進めてきた。しかし、アワミ連盟ほか14党連合が選挙管理委員会の再編、選挙人名簿の改正等を求めて全国規模で主要道路・港湾封鎖、デモ等を行い、緊迫した情勢が続いていた。その後、2007年1月11日に非常事態宣言が発令され、当初1月22日に予定されていた総選挙は延期となった(2007年2月現在、新しい選挙日程は確定していない)。

 ネパールでは、1996年にマオイストが武装闘争を開始して以来、国内治安が悪化し、民主政治の混迷の時期が続いた。国王と政党の溝が深まる一方、政党とマオイストは連携を模索し、2005年11月に国王からの政権奪取を目的として12項目につき合意がなされた。2006年、民主化への機運が高まり、4月の大規模抗議行動を契機として、同月24日に国王が下院の復活を宣言し、7政党の連立による民主主義政権が発足した。下院では、制憲議会選挙の実施、マオイストとの和平交渉の開始、停戦、国王の権限縮小が決定された。8月22日には国名が「ネパール王国」から「ネパール」に変更された。7政党とマオイストとの和平交渉により、11月21日に包括的和平合意が成立し、12月16日に暫定憲法が署名された。今後、武装管理の完了や暫定議会の発足を経て、2007年6月に制憲議会選挙が実施される予定である。日本は、民主主義の回復、マオイストとの対話による和平達成を支持し、働きかけを行ってきており、引き続き民主化、平和構築及び自由かつ公正な選挙の実施に向けて支援を行う。

 ブータンについては、日本・ブータンの国交樹立20周年に当たり、両国関係を一層強化すべく、種々の文化行事が実施された。1月にはノルブ財務大臣が訪日し、政府関係者等と意見交換を行った。また、4月には日本の招聘により、ドルジ国会議長が訪日し、その際、日本・ブータン友好議員連盟の設立総会が行われた。10月中旬には、日本での国交樹立20周年記念レセプション開催のため、ティンレー内務・文化相が来日した。同月下旬には、町村信孝前外務大臣ほか日本・ブータン友好議員連盟がブータンを訪問し、同様に記念レセプションが開催された。12月には第4代のジグメ・シンゲ・ワンチュク・ブータン国王が、王位をジグメ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク皇太子に継承した。なお、ブータンは、憲法制定と同憲法に基づく初の総選挙を2008年に実施する予定である。

 モルディブでは、6月、日本の支援で建設された護岸設備が2004年のインド洋津波の被害から首都マレを守ったとして、モルディブ政府から日本国民に対し、「グリーン・リーフ」環境賞が授与された。7月、8月にはシャヒード外相が訪日した。また2007年は、日・モルディブ国交樹立40周年に当たり、2月に駐日大使館が開設された。




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