第2章 地域別に見た外交


(ニ)第5回六者会合第3セッションにおける「初期段階の措置」の採択

 2006年12月の六者会合第2セッションは実質的成果なく終了したが、その後も、2007年1月16日から3日間、ベルリンにて行われた米朝間協議や、その直後に行われたヒル米国国務次官補による韓国、日本、中国歴訪など朝鮮半島の非核化を実現すべく、関係各国による六者会合再開のための外交努力は継続された。

 その結果、2007年2月8日から再開された六者会合においては、関係国による6日間にわたる精力的な協議の結果、(1)採択後60日以内に北朝鮮が実施する措置として1)寧辺の核施設の活動停止及び封印、2)すべての必要な監視及び検証のための国際原子力機関(IAEA)要員の復帰等を定め、また、これと並行して、(2)米中韓露による北朝鮮に対する重油5万トンに相当する緊急エネルギー支援の開始等を定めた(日本については、拉致問題を含む日朝関係に進展が得られるまで、不参加)「共同声明実施のための初期段階の措置」 (別表「『共同声明の実施のための初期段階の措置』の概要」参照) が採択された。

 さらに、この採択文書は、「初期段階の次の段階における措置」として、(1)北朝鮮によるすべての核計画の完全な申告の提出及びすべての既存の核施設の無能力化等にまで踏み込み、(2)これに対応する措置として米中韓露による重油95万トン規模を限度とする経済・エネルギー及び人道支援の供与(日本については、拉致問題を含む日朝関係に進展が得られるまで、不参加)等をうたったほか、(3)同措置の実施及び第4回六者会合共同声明の完全な実施のため、「朝鮮半島の非核化」、「日朝国交正常化」などをテーマとする作業部会の設置及びその30日以内の開催等を盛り込んだ。特に日朝関係については、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始することで一致した。

 今回の文書は、「すべての核兵器及び既存の核計画」の検証可能な放棄を定めた六者会合共同声明の完全な実施に向けての第一歩であり、北朝鮮が非核化へ向けた具体的行動に同意した点で大きな意義がある。また、今回改めて、日朝関係が六者会合の枠組みの中に明確に位置付けられたことは、今後、拉致問題を含む日朝間の懸案事項に取り組んでいく上でも有意義である。日本としては、引き続き北朝鮮の核放棄という六者会合の最終的目標に向かって精力的に取り組んでいく。また、「日朝国交正常化のための作業部会」において、拉致問題を含む諸懸案の解決へ向け、全力で取り組んでいく。



▲第5回六者会合第3セッションで握手する六者の首席代表(2007年2月13日、北京 写真提供:共同通信社)

▼「共同声明の実施のための初期段階の措置」の概要

 2007年2月8日から13日まで北京にて開催されていた第5回六者会合第3セッションで採択された「共同声明の実施のための初期段階の措置」の概要は以下のとおり。




<< 前の項目に戻る 次の項目に進む >>