第2章 地域別に見た外交


(ハ)六者会合の再開

 日本は、北朝鮮に対し圧力となる措置を講ずる一方で、対話の窓口は常に開き続け、六者会合の再開に向けても、関係国と緊密に連携しつつ外交努力を行った。10月18日に東京で行われた日米外相会談、次いでソウルで行われた19日の日米韓外相会談及び20日の日韓外相会談では、北朝鮮の核保有は断じて容認できないことを改めて確認するとともに、北朝鮮が直ちに無条件で六者会合に復帰する必要があるとの点で一致した。

 六者会合の議長国・中国も会合の再開へ向け積極的な外交努力を展開した。トウカセン国務委員は胡錦濤国家主席の特別代表として10月12日に訪米し、13日にはモスクワを訪れた後、19日には北朝鮮を訪問し、胡国家主席のメッセージを金正日国防委員長に伝達した。さらに、帰国した唐国務委員は、20日、日本と韓国を歴訪したライス米国国務長官との間で会談を行った。ライス国務長官は、その後、21日にモスクワにてプーチン大統領及びラヴロフ外相と会談を行った。

 このように各国の外交努力が活発になる中、10月31日に北京で米中朝の六者会合首席代表による三者協議が行われ、同協議の結果、六者会合が再開される運びとなった。これを受け、日本は、11月のハノイAPECの際に、米国、韓国、中国及びロシアの各国との間で首脳及び外相レベルで会談を行い、再開後の六者会合で具体的進展を上げられるよう、関係五者の連携強化に努めた。また、APEC首脳会議においても、北朝鮮によるミサイル発射及び核実験に強い懸念を表明するとともに、安保理決議の完全な実施の必要性を強調する口頭声明が議長より読み上げられた。

 11月27日から30日にかけて、日本、米国、中国、北朝鮮及び韓国の六者会合首席代表が北京を訪れ、米中朝の三者協議を軸として、六者会合の再開に向けた具体的調整を行った。その後も六者間の調整が続けられた結果、第5回六者会合第2セッションが12月18日から22日まで北京にて行われることとなった。

 約1年1か月ぶりの六者会合において、日本は北朝鮮による核放棄に向けた具体的成果を得るべく、積極的に議論に参加した。しかしながら、北朝鮮が核問題とは無関係の金融問題に固執し、2005年9月の共同声明の実施に関する議論に入ることを拒み続けたことから、同会合は何ら具体的成果を上げることなく休会することとなった。




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