第1章 概 観


(国際経済と経済面での国際的取組)

 世界経済は、引き続き高い成長率で推移しているが、世界的な不均衡及び依然として高水準にある石油価格が不安定要因として存在している。G8サンクトペテルブルク・サミットでは、エネルギー安全保障や貿易、知的財産権保護などについて活発に議論された。

 多角的貿易体制の維持・強化は世界経済の繁栄をもたらし、日本の経済発展の拠って立つ柱である。世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドについては、2006年中の交渉妥結を目標に閣僚級会合を重ねるなど積極的に交渉が行われた。7月のG8サミットもラウンド交渉の妥結に向けて各国に一層の柔軟性を求めた。7月末には、主に農業の市場アクセス、農業補助金及び非農産品市場アクセス(NAMA)の3つの論点で各国の立場の乖離は埋まらず、ラウンド交渉はいったん中断したものの、11月には交渉グループごとに実務レベルの議論が再開した。

 また、日本は、WTOを補完するものとして、経済連携協定(EPA)締結交渉も積極的に進めている。7月には日・マレーシア経済連携協定が日本にとって3か国目のEPAとして発効したほか、フィリピンとの間で協定に署名、チリ、インドネシア及びブルネイとの間で大筋合意に至った。




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