第5章 世論の理解と支持を得た日本外交


(2)情報の収集・分析体制の強化

 近年の国際テロ問題や北朝鮮・イラクを巡る情勢などに見られるように、昨今の国際情勢は、流動性と不透明性をますます高めている。このような国際環境の中で、日本が国際社会における様々な課題に迅速に対応しつつ、能動的かつ戦略的な外交を展開していくためには、その基礎として、多様で広範な対外情報の収集に基づく洞察に富んだ分析を行うことが必要不可欠となっている。

 外務省では、このような認識に基づき、在外公館を中心とするネットワークを活用して幅広い分野における情報収集を行うとともに、外務本省の関連部局の改編を含む対外情報収集・分析能力の強化に取り組んでいる。さらに、外務省をはじめとする日本の対外情報機能の強化は差し迫った検討課題であるとの認識から、4月に町村外務大臣の下、対外情報・インテリジェンスに知見を有する有識者をメンバーとして、「対外情報機能強化に関する懇談会」が設置された。懇談会は、昨年9月、町村外務大臣に対して報告書 を提出し、その中で、外務省の対外情報機能の強化について、(1)在外公館を通じた対外情報収集体制の強化や衛星情報の活用強化等を通じた情報収集機能の強化、(2)外部の研究・調査機関及び専門家の活用や情報活動方針の策定等を通じた情報分析能力の強化、及び(3)教育・訓練や情報保全措置の強化、等を通じた対外情報機能強化の基盤整備の重要性について提言を行った。

 外務省は、この提言をも踏まえつつ、在外公館の情報収集体制の強化のための人員面の強化や、外部・民間の専門家の知見の一層の活用、公開情報のより有効な活用、関連インフラ等の整備など、対外情報収集・分析能力の抜本的強化のための取組を進めている。外務省の対外情報機能の強化は、大局的見地から、着実に進めていくことが必要な中長期的課題であり、今後、分析要員の専門性の向上、そのための組織的かつ体系的な教育・訓練の充実、秘密保全措置のなお一層の強化等についても更に前向きな取組を進めていく必要がある。

 

▼平成17年度機構図




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