第5章 世論の理解と支持を得た日本外交


(1)予算、機構・定員面での努力

 外務省の2005年度予算においては、ますますグローバル化が進展する国際社会の中で、日本の安全と繁栄を確保するとともに、世界の平和と発展に日本として寄与する必要があるとの観点から、(1)国民を守る日本外交~安全保障と邦人安全対策~、(2)先頭に立つ日本外交~新たな国際秩序の構築に向けて~、(3)主張する日本外交~戦略的な情報発信~、(4)底力のある日本外交~情報機能、ODA、文化、外交実施体制の強化~を4本柱として、7,072億円(対前年度比1.9%減)を計上した。

 また、2005年度の補正予算では、(1)世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金、(2)ASEAN統合支援拠出金、(3)パキスタン地震対策支援、(4)新型インフルエンザ対策支援、(5)日中21世紀交流事業、(6)国連平和維持活動(PKO)分担金、(7)国連分担金、などについて合計1,304億円を計上し、緊急に手当する必要が生じた事項に対応した。

 本省の機構については、外務省が対処すべき国際的な危機管理事案の質・型が急速に変化し、量的にも増大する中、危機管理事案への組織横断的な対応をこれまで以上に迅速かつ適切に行うため、大臣官房総務課危機管理調整室を新設し、2004年度に新設された危機管理担当参事官の下での危機管理体制を強化した。在外公館の機構については、新たな外交上・領事業務上の必要に対応するため、2006年1月、在スロベニア大使館及び在デンパサール総領事館の新設等を行った。2005年度末における日本政府の在外公館(実館)数は、大使館117、総領事館65及び政府代表部7の合計189である。

 定員の増強については、かねてよりの重点事項である危機管理・安全体制の強化に加え、2003年11月に起きた奥克彦在英国大使館参事官・井ノ上正盛在イラク大使館三等書記官の殺害事件を契機に、在外公館の警備・治安対策や在留邦人保護業務を一層強化する必要があるとの認識も高まった。これを踏まえ、2005年度には、厳しい予算・定員事情の中で、在外公館警備対策及び領事担当官の増員を中心に、外務本省16人、在外公館4人の合計20人の増員を行い、定員数は合計5,434人(外務本省2,159人、在外公館3,275人)となった。しかしながら、この定員数をもってしても、ほかの先進諸国と比較すると決して十分とは言えず、依然として人員不足は否めない状況にある。外務省は、こうした定員の増強を図る一方、定員の再配置及び事務合理化等の努力を通じ、既存定員の有効活用を行っている。

 

▼平成17年度 外務省予算重点事項

 

▼平成17年度 外務省所管予算

 

▼主要国の外務省職員数




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