第3章 分野別に見た外交 |
(3)知的交流・文明間対話 知識人の交流は、日本の学術水準を高め、日本や他国に対する理解を体系化し、広く国民各層に伝える上で重要である。また、異なる価値観に対して開かれた文化の下で、伝統を維持しつつ近代化を達成した日本が文明間の対話を促進することは、世界の平和と安定に向けてなし得る重要な貢献の一つである。 (イ)日本研究の促進 諸外国における日本の政治、経済、社会、文化に関する研究を振興することは、各国における対日理解を促進するとともに、次世代の知日派を育てる上で非常に重要である。日本は国際交流基金を通じ、中国の北京日本学研究センター等日本研究の拠点となる全世界延べ266機関を対象に、教員の派遣、会議への助成、図書寄贈を行ったほか、40か国から134名の日本研究者を招聘した(2005年実績)。 (ロ)中東・イスラームとの対話 外務省は、国際交流基金の協力を得て日本と中東諸国の文化交流・対話の促進を目的として9月に有識者6名からなる第3回対中東文化交流・対話ミッションをトルコ、サウジアラビア、チュニジアに派遣し、各国有識者とのシンポジウムを開催するとともに、各国の要人と意見交換した。同ミッションに参加した有識者は、その結果をもとに今後の対中東文化政策に関する「報告と提言」を作成し小泉総理大臣に提出した。また、外務省は日本における中東・北アフリカ諸国の文化・社会への理解を促進するため、国際交流基金及び地方自治体との共催で理解セミナーを7月に仙台市、11月にさいたま市にて開催した。 (ハ)知的交流 アジア各国のコミュニティ意識を醸成することを目的として、多国間の共同作業・交流を重視した事業を知的交流事業の一環として企画・実施している。7月には、日本、中国及び韓国の各界リーダーをそれぞれの国で一堂に集めて、三者間の信頼関係を醸成する「日中韓次世代リーダーフォーラム2005」を開催し、現在3か国が共通に抱えている課題について意見交換を行い、課題解決の方途を探った。 (ニ)国際連合大学との協力 外務省は、日本に本部を置く国際連合大学と連携・協力し、国際会議、シンポジウム、セミナー等の事業を実施している。7月には、「世界の新たな枠組みを目指して-いかに世界の若者の心をひとつにし、対立を乗り越えるか-」とのテーマで、国際連合大学、国際交流基金、総合研究開発機構の共催、外務省の企画・後援により「世界文明フォーラム2005」が国際連合大学で開催された。 |
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