第3章 分野別に見た外交 |
6.人道支援 民族・宗教等を背景とする紛争や地震・津波等の自然災害により、人道支援の必要性・重要性が世界各地で一層増加している (注26) 。難民・国内避難民等の脆弱者層の存在は、人道上の問題であると同時に、関係地域のみならず、国際社会全体の平和と安定に影響を及ぼしかねない。 日本は、「人間の安全保障」の観点から、人道支援を国際貢献の重要な柱の一つと位置付け、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(WFP)、赤十字国際委員会(ICRC)等の国際人道機関の活動を積極的に支援してきている。スマトラ沖大地震及びインド洋津波に際しては、国際社会に先駆け、1月にUNICEF、WFP等、15の国際機関を通じて総額2億5,000万ドルを拠出した。パキスタン等大地震に際しては、国際機関を通じて計800万ドルを拠出し、医療・衛生、水・食料・テントの供給及び輸送等の面で迅速な被災者支援に貢献してきている。さらに、現地の高い支援ニーズを踏まえ、2006年1月に麻生外務大臣がパキスタンを訪問した際に、国際機関を通じた計2,000万ドルの追加拠出を表明した。これら被災地では、国際移住機関(IOM)、UNICEF等の国際機関・国際緊急援助隊(自衛隊等)・日本のNGOの三者間の緊密な連携により、日本の「顔の見える支援」が実現した。さらに、自然災害被災地や紛争後等の厳しい勤務状況の下で、国際人道機関の日本人職員が活躍し、日本の人的貢献の一翼を担っている。 また、日本は、アフリカにおける「平和の定着」を促進するという観点から、アフリカ難民問題の解決に積極的に取り組んでいる。6月にはスーダン支援政府調査団を派遣し、ニーズ調査等を行った上で、大量に発生した帰還民等に対する人道支援のため、10月に国際機関を通じ総額約3,210万ドルを拠出した。
▼主要な人道支援国際機関への日本の拠出状況
▲パキスタン等大地震の被災地を視察する谷川外務副大臣 (10月、パキスタン・バタグラム県) |
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