第3章 分野別に見た外交


4.国際組織犯罪、薬物

(1)国際組織犯罪

 グローバル化や情報通信の高度化、人の移動の拡大等に伴い、国境を越える組織犯罪が一層深刻化しており、的確な対処のため国際的な連携・協力がますます重要になってきている。こうした状況を踏まえ、国連、G8、FATF等において、精力的な取組がなされている。

 国際組織犯罪防止条約及びその補足議定書は、国際的な組織犯罪を防止し、これと闘うための協力を促進する国際的な法的枠組みを創設するものである。日本は現在、同条約等の締結に向けて国内法整備を進めている。

 人身取引については、2004年12月に策定された政府としての包括的な人身取引等対策行動計画(注15)に基づき、人身取引の防止・撲滅及び被害者の保護に向けた様々な諸施策を関係省庁との協力の下、鋭意推進している。

 G8の枠組みでは、国際組織犯罪対策上級専門家会合(通称リヨン・グループ(注16))において薬物問題、人身取引・不法移民問題、腐敗問題、サイバー犯罪対策等が議論され、日本もこれに積極的に参加した。これらの議論の結果は6月に開催されたG8司法内務閣僚会合の議長総括としてまとめられた。

 一方、情報技術の急速な発展・普及に伴って深刻化したサイバー犯罪に対する国際協力のため2001年に採択されたサイバー犯罪条約についても現在、締結に向けて国内法整備が進められている。

 FATFは、資金洗浄(マネー・ロンダリング)及びテロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進を目的として、OECD加盟国を中心に構成される国際的な枠組みである。資金洗浄対策に関する国際的な基準となる「40の勧告」及び「テロ資金供与に関する特別勧告(9の勧告)」の策定及び実施状況の監視を主な活動としており、2005年から第3次相互審査が実施されている。また、10月の全体会合では、アジア太平洋の非協力的な国・地域として指定を受けていたナウルについて、同指定の解除が決定された。日本は、非協力的な国・地域に関する取組のためのアジア太平洋地域の検討グループの議長を務めるなど、FATFの中心的なメンバーとして貢献している。




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