第3章 分野別に見た外交 |
第3節 人間の安全保障の推進に向けた地球規模の諸課題への取組 【総 論】 グローバル化の進展によって、今までにない勢いでヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて移動し、人々が互いに影響を与える時代になっている。しかし、その負の側面として、国際社会はエイズ等の各種感染症の流行、環境汚染、国際組織犯罪、テロ等の新たな脅威に直面している。冷戦後、国家間の戦争に代わって国内・地域紛争が多発し、難民流出ばかりでなく国内避難民も大きな問題となっている。さらに、大規模な自然災害で多数の人々が深刻な影響を受けた結果、被災国のみによる復興活動が困難になるというのも脅威の一例であろう。このような趨勢の中で、国際社会としては、人間一人ひとりに焦点を当て、国家・国際社会による保護に加え、各国、国際機関、NGO、市民社会が協力して、人々が自らの力で生きていけるよう、人々や社会の能力強化を図っていく必要がある。これが、「人間の安全保障」の考え方である。 |
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