第3章 分野別に見た外交


(1)紛争予防・平和構築

 近年、国際社会においては、紛争を終結させる「紛争解決」だけでなく、紛争の原因を事前に摘み取り、紛争が発生した場合にはその拡大を防ぐとともに紛争の早期終結を促進し、さらに和平合意が成立した場合には社会の安定・復興を通じ、紛争の再発を防止するという包括的な「紛争予防(conflict prevention)・平和構築(peacebuilding)」の重要性が広く認識されてきている。

 特に国連では、3月のアナン国連事務総長の提言に基づき、9月に国連首脳会合で採択された「成果文書」において、各国首脳が持続可能な平和を達成するために紛争状態の解決から復旧、社会復帰、復興に至るまで、一貫したアプローチに基づき、紛争後の平和構築と復旧のための統合戦略を助言・提案する機関として平和構築委員会の設立に合意し、12月に国連総会と安全保障理事会が共同で同委員会の設立を決定した。

 日本は、これまでカンボジア、コソボ、東ティモール、アフガニスタン、スリランカ及びアフリカ諸国等において、難民・国内避難民支援、地雷対策支援、元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)支援、基礎生活基盤の復旧支援、政治・経済・社会的制度の構築支援等、平和の定着と国づくりのための支援を積極的に行ってきている。今後もこのような実績を通じて得られた知見をもとに、平和構築委員会の活動に積極的に参画し、引き続き紛争後の平和構築に建設的な役割を果たしていく。




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