第2章 地域別に見た外交


(1)オーストラリア

 日本にとってオーストラリアは、米国の同盟国として、また、アジア太平洋地域に位置する先進国として、地域の政治・安全保障について多くの問題意識を共有する重要なパートナーである。安全保障面では、様々なレベルでの対話を行っており、東アジア地域のテロ対策、大量破壊兵器等の不拡散、国境を越える問題等の取組において協力しているほか、日米豪で閣僚級の戦略対話の実施を決定するなど、近年その関係は緊密化し、貿易経済関係中心から政治安全保障面を含むグローバルな「戦略的関係」という新たな段階に入っている。経済面では、日本が工業品を輸出し、オーストラリアから資源、農産物等の一次産品を輸入するという補完的な貿易関係にある。2003年7月に、両国首脳間で「日豪貿易経済枠組み」が合意され、一層の関係緊密化に向け、貿易及び投資の自由化の得失についての政府間共同研究を約2年間にわたり実施した。2005年4月の首脳会談に際しては、良好で相互補完的な経済関係をより高度な経済連携関係とするため、FTAの実現可能性またはメリット・デメリットを含め、先進国にふさわしい経済連携強化の在り方を政府間で研究することに合意した。6月には、日豪社会保障協定の交渉を開始した。この協定は社会保険料の二重払い等の問題の解決を目的とするものであり、日本企業等の負担軽減が期待される。両国間の相互交流は活発であり、「愛・地球博」に際しては、ハワード首相、ダウナー外相はじめ多くの要人が日本を訪問した。2006年は日豪友好基本条約署名30周年等を記念した日豪交流年とされており、一年を通じて様々な交流事業が実施される予定である。



▲会談後、共同記者会見に臨む小泉総理大臣とハワード・オーストラリア首相(4月20日、総理大臣官邸 写真提供:内閣広報室)




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