1.朝鮮半島 【総 論】
日本に隣接する朝鮮半島は、北東アジア地域に位置する日本にとって最も重要な地域の一つである。
韓国は、地理的に最も近いだけではなく、日本と民主主義、市場経済等の基本的な価値観を共有し、共に米国との同盟関係にあり、政治、経済、文化といったあらゆる面で極めて密接な関係にある重要な隣国である。近年、両国の関係は一層の深みと広がりを見せており、将来に向けて一層強固な友好協力関係を発展させることが、日韓両国のみならず北東アジア地域の平和と繁栄にとって極めて重要である。
2005年は、竹島問題や歴史認識の問題等を巡り、両国関係が難しい問題に直面した局面もあったが、日韓国交正常化40周年の節目の年を記念して行われた「日韓友情年2005」の交流事業等を通じて、国民レベルでの交流が着実に進展した。
北朝鮮については、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を図るという基本方針の下、「対話と圧力」の考え方に基づいて様々な施策を講じてきた。
核問題については、7月に約1年1か月ぶりとなる第4回六者会合が開かれた。休会期間を挟み約2か月にわたった同会合では、六者会合として初の共同声明が発表され、その中で北朝鮮が、「すべての核兵器及び既存の核計画」の検証可能な廃棄を約束するなど、大きな前進があった。ただし、その後、米国がマカオ所在の銀行に対してとった資金洗浄対策措置を理由に、11月の第5回六者会合第1次会合で北朝鮮側が態度を硬化させ、共同声明の実施の方向性を示す議長声明の採択を除いては、具体的成果のないまま休会となった。結局、その後も北朝鮮側が米国による当該措置の解除を六者会合出席の前提条件としたことから、第2次会合が開催されないまま、2006年を迎えることとなった。
▼朝鮮半島を巡る情勢
2004年末から中断していた日朝間の協議については、前述の第4回六者会合の際の日朝間の協議の際にこれを再開することで一致し、11月には約1年ぶりに日朝政府間協議が行われた。翌12月の同協議では、拉致問題を含む諸懸案を包括的に解決するため日朝間で「包括並行協議」を立ち上げることで一致するなどの進展があった。こうした中で、日本にとって最優先課題である拉致問題については、累次にわたり、(1)生存している拉致被害者の早期帰国、(2)安否不明者についての真相究明、(3)容疑者の引渡し-を強く求めている。日本は拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決なくして国交正常化はないとの方針で一貫しており、拉致協議、安全保障協議、国交正常化交渉の3つからなる「包括並行協議」でもこの方針を堅持している。 |