第1章 概 観


(ODA)

 日本のODAは、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて日本の安全と繁栄の確保に資することを目的としている。現在、相互依存関係が深まる中、特に貧困や飢餓等の人道的問題や環境、感染症等の地球規模の問題が、国境を越えて個々の人間にとって脅威となっている。日本は、これらの国際社会の諸課題に率先して取り組むため、ODAを積極的に活用してきている。また、ODAの実施に当たっては、個人及び地域社会の保護と能力強化を通じて各人が尊厳ある生命を全うできるような社会づくりを目指す「人間の安全保障」の視点を重視し、また、その推進のためにNGO等との連携も進めている。

 2005年は「国連ミレニアム宣言」採択後5年目の区切りの年で、世界共通の開発課題である国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成状況を初めて検証する重要な年であった。また同時に、開発課題の多くが集中するアフリカへの支援の重要性が再確認された。




▲ODA政策について、日本記者クラブで演説する麻生外務大臣(2006年1月19日、東京)


  日本は、アジア・アフリカ首脳会議でアフリカ向けODAの倍増を表明したほか、G8グレンイーグルズ・サミットで、5年間のODA事業量について100億ドルの積み増しを目指すことを表明した。日本は一連の国際会議で、開発途上国の自助努力(オーナーシップ)と国際社会との連携(パートナーシップ)の原則、経済成長を通じた貧困削減や南南協力の必要性等を主張した。また、2004年末のスマトラ沖大地震及びインド洋津波に対しては他国に率先して迅速に対応し、パキスタン等大地震の発生に際しても、国際緊急援助隊の派遣や緊急援助物資の供与、有償・無償資金協力や技術協力の供与、国際機関やジャパン・プラットフォーム傘下のNGOの活動等により現地のニーズを的確に踏まえて日本の「顔」が見える形で支援している。




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