【組織・機構面での改革】
「組織・機構面での改革」については、2003年3月に発表した「外務省機構改革最終報告」に基づき、2004年8月、外務省は新しい組織・機構に移行した。この機構改革の主要点は以下のとおりである。
第一に、外交戦略策定機能の強化である。総合外交政策局を筆頭局とし、複数の「外交政策調整官」の配置などにより、その企画立案・政策調整機能を強化した。さらに、戦略的・効果的なODAの実施及び国別アプローチ強化の観点から、経済協力局の国別開発協力を担当する課を二課に拡充した。また、大量破壊兵器等の不拡散などに関する取組を強化するため、軍備管理・科学審議官組織に代えて「軍縮不拡散・科学部」を新設した。
第二に、領事機能と危機管理の強化である。海外における日本人に対する領事サービスの向上及び安全対策強化のため領事移住部を「領事局」に格上げするとともに、領事局各課室及び省内関係局課からなる「領事サービス本部」を設置し、全省的な観点から領事サービスの改善・強化に努めている。また、危機管理担当参事官の新設により、平時から危機管理体制の整備に努め、緊急事態の際には迅速・効果的に対応するための体制を強化した。
第三に、情報収集・分析能力の強化である。迅速かつ広範な対外情報の収集に基づく的確な分析が不可欠との認識に立ち、旧来の国際情報局(三課体制)を国際情報統括官の下に四人の国際情報官を置く体制に拡充し、専門性、柔軟性、機動性を高めることとした。
第四に、新たな国際的枠組みの構築に向けた取組を強化するため、国際社会協力部を三課から五課に拡充するとともに、経済問題に関し、それぞれの優先課題により機動的・効果的に対応するため経済局の組織を再編した。また、条約局を国際法局に改め、条約の分野別に機構を再編成するなどにより、国際法秩序の構築に一層積極的・能動的に参画するための体制を強化した。
第五に、日本の対外イメージを向上させ、日本文化の持つ魅力を外交上もソフトパワーとして最大限活用するため、「広報文化交流部」を新設し、海外広報と文化交流を連携させたパブリック・ディプロマシーを展開している。