第4章 国際社会で活躍する日本人と外交の役割



【海外生活支援】
 海外に在留する邦人の数の増加に伴い、日本国民の安全と快適な海外活動を確保するために求められる領事業務も複雑多岐にわたっている。中でも、海外で生活する国民の主な関心が、現地の治安、教育、医療事情であることを踏まえ、外務省では、国民の海外での福利を向上させるための環境整備の一環として、従来から、文部科学省と連携して日本人学校及び補習授業校に対する支援を行っており、特に、日本人学校の安全対策に重点をおいて取り組んでいる。
 また、海外における感染症流行等の情報(医療情報)についても、各国政府や世界保健機関(WHO)などの情報を基に、渡航情報(スポット情報や広域情報、危険情報)等を通じて広く情報提供に努めているほか、医療事情の悪い地域を中心とした開発途上国に在留する邦人の健康相談のために、国内医療機関の協力を得て、1972年から巡回医師団を派遣しており、2004年には37か国に派遣した。
 近年、こうした取組に加え、在留邦人・日本企業からの要望を踏まえ、年金保険料の二重払い及び掛け捨ての問題の解決、外国運転免許証の取得手続の簡素化等、新たな分野における施策も、関係国との協議を通じて推進しており、年金保険料の問題については米国、韓国との間で署名された社会保障協定が国会で承認されたほか(2004年6月)、フランス、ベルギーとの間でも案文の実質合意に達した。運転免許試験の相互免除については、2004年4月にポーランドとの間で交換公文に署名した。また、海外において刑に服している受刑者の母国における社会復帰等を目的とする受刑者移送条約が2003年6月に発効し、これまでに7名の受刑者が、日本から母国に移送された。



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