第4章 国際社会で活躍する日本人と外交の役割



【交流促進と治安対策】
 外務省は、国内治安の確保や国際的な犯罪予防のため、厳正な査証の発給に関する政策及び旅券の発給・管理体制の強化や偽変造対策を実施する一方で、国際交流を促進するため、査証手続の簡素化及び迅速化も継続して推進している。
 2004年の日本への外国人入国者数は約676万人、在日外国人数は約192万人であり、多くの外国人が日本に滞在するようになった。このように海外との人的交流が活発化している一方で、テロリスト・犯罪者など入国を認めるべきでない外国人の入国を事前に防止することも在外公館の重要な任務の一つとなっている。そのような外国人の入国を、査証の段階で効率的に精査するため、2002年12月から外務本省及び全在外公館等において全ての査証審査、発給情報の即時共有化を図る目的で、査証広域ネットワーク(査証WAN)システムの稼働を開始し、その後もネットワークを拡大している。
 近年、旅券等の渡航文書が偽変造されたり、別人が成りすましたりする不正使用が少なからず発生しており、その対策が国際的な関心事項となっている。特に米国同時多発テロ以降は、不正な渡航文書がテロリストの国際間の移動に利用されることを防ぐ観点から、渡航文書の発給・管理体制や偽変造対策の強化について、G8をはじめとする様々な国際会議で積極的に議論されている。旅券の安全対策として、生体情報を電子機器により識別して本人であることを確認する技術(バイオメトリクス)の旅券への導入とその国際的相互運用性に関する議論に日本も積極的に参加しており、2004年5月、国際民間航空機関(ICAO)による国際標準が策定された。これにより日本は国際標準に準拠したIC旅券(生体情報(顔画像)を記録したICチップを搭載した旅券)を平成18年3月までに発給開始することを目指して取り組んでいる。また、これらの国際的な動きについてはアジア諸国とも緊密な連携をとることが効果的な旅券犯罪対策に資するとの観点から、平成15年度から「アジア諸国旅券政策協議」を開催し、旅券犯罪の動向・旅券発給体制の強化・偽変造防止技術の向上等の情報共有体制の構築に努めている。



テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む