第3章 分野別に見た外交 |
3 持続可能な開発・地球環境問題
【国際的なルール作り】
貧富の差の拡大や地球環境問題の深刻化といったグローバル化の負の側面が顕在化している中、グローバル化の恩恵を、開発途上国を含む国際社会全体が適切な形で享受し、環境と開発を両立させる「持続可能な開発」を実現していくことが極めて重要である。
地球温暖化やオゾン層の破壊、生物種の絶滅等の地球環境問題は依然として深刻であり、日本はこれらを人類の生存に対する脅威と位置づけ、戦略、責任及び経験・情報を地球規模で共有するグローバル・シェアリングという考え方を提唱し、国際社会が連帯して取り組むことを呼びかけてきた。地球環境に関する国際的なルールづくりにおいては、既に枠組みの構築の段階から実効性の確保の段階に移行しつつある。日本は多数国間環境条約における実効性の確保を追求するとともに、昨今の厳しい財政事情を踏まえ、各条約間で相互に情報を共有し無駄な作業を省いて条約の効率的な実施を図る、いわゆる相乗効果の議論に積極的に関与し、効率化に向けての努力を重ねている。また、特定の価値観によって国際的なルールが形成されるのではなく、例えば、科学的な根拠に基づき資源の保全と利用を両立させる「持続可能な利用」の重要性を国際社会に繰り返し訴えてきている。こうした観点に立ち、日本は地球環境に関する国際的なルールづくりに積極的に貢献するとともに、2004年は「水」「防災」「3R」等持続可能な開発の分野でイニシアティブを発揮して、力強い環境外交を推進している。
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