第3章 分野別に見た外交


第1節 国際社会の平和と安定に向けた取組

【総論】
 日本及び日本国民の平和と繁栄を確保するためには国際社会全体の平和と安定が不可欠である。2004年も、国際社会は複雑な要素をはらんだ地域紛争や国際テロ、大量破壊兵器等の拡散といった脅威に直面し、それらの対応に尽力した一年であった。このように依然として不確実、不安定な要素を包含した国際社会が21世紀の新しい国際秩序を模索する中で、日本は日米同盟と国際協調を外交政策の二本柱として位置づけ、望ましい秩序形成に努めている。そのような努力は、これまで進めてきた三つの柱からなる安全保障政策(1)日米安全保障体制の堅持、2)適切な防衛力の整備、3)日本を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力)とともに今後とも推進していく考えである。
 日米安全保障体制については、日米安全保障条約を引き続き堅持し、米軍の前方展開の下で日本の安全を確保することが必要であり、日本は、米国との同盟関係を一層堅固なものとしていく考えである。
 防衛力の整備については、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念に従い、節度ある防衛力整備に努めている。政府は、2004年12月に新たな防衛計画の大綱(注1)及び中期防衛力整備計画(2005年度から2009年度)(注2)を策定し、今後の日本の安全保障及び防衛力のあり方について、新たな指針を示した。また、政府の最も重要な責務である緊急事態への対処に関する制度として、2003年に武力攻撃事態対処関連3法が成立したことに続き、2004年6月、有事関連7法3条約が成立・承認された。
 さらに、日本は、日本及び日本国民の安全と繁栄を確保するとともに日本をとりまく国際環境の安定を確保するため、様々なレベルでの不断の外交努力を積み重ねてきている。具体的には、日本の外交の基軸である日米同盟の維持・強化、国連をはじめとする国際協調、アジア地域その他の近隣諸国との関係促進のための努力である。日本は、引き続き地域の安定を図るための二国間、多国間の協力、様々な国・地域との信頼醸成に向けた政治・安全保障対話及び協力、軍備管理・軍縮・不拡散体制の強化、紛争の予防のための取組や国連平和維持活動(PKO)への参画等を通じた地域紛争への対応、域内各国の経済発展への支援・協力を通じた地域の安定性の増大、国際テロの防止・根絶のための努力等の分野において、引き続き積極的な役割を果たしていく考えである。



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