第2章 地域別に見た外交


第6節 中東北アフリカ

【総論】
 世界の主要なエネルギーの供給地域である中東地域の平和と安定を確保することは、日本を含む国際社会全体の平和と繁栄に直結する重要な問題である。
 こうした観点から見ると、アフガニスタンにおける復興が着実に進展し、同国が民主主義国家として新しく生まれ変わりつつあることは歓迎されるべきことである。また、イラクの安定と復興は国際社会の焦眉の課題であり、イラク自身による国家再建の努力を国際社会が一致して支援していくことが不可欠である。日本としても、自衛隊による人的貢献とODAによる支援を「車の両輪」としてイラク復興支援のため最大限努力してきており、今後も継続していく考えである。
 また、中東地域の平和と安定は、中東和平問題の進展なくしては達成し得ない。中東和平プロセスを前進させるために、日本はこれまで以上に積極的な役割を果たしていく考えである。
 湾岸諸国との関係においても、日本は、中東地域の平和と安定、繁栄の実現に向けて湾岸諸国が抱える様々な事情に考慮しつつ、積極的な外交を展開してきている。
 さらに、日本は、双方の要人の往来などを通じて中東諸国との意見交換を重ね、またアラブ及びイスラム諸国との対話を増進させることなどを通じて、より幅広く、深みのある関係強化のための積極的な外交に努めている。2004年にはエルドアン・トルコ首相(4月)、ハムダーン・アラブ首長国連邦副首相兼外務担当国務大臣(4月)、ハマド・カタール第一副首相兼外務大臣(6月)、サバーハ・クウェート首相(7月)、ジャービル・クウェート副首相兼国防大臣(11月)、ブーテフリカ・アルジェリア大統領(12月)及びアブドッラー・ヨルダン国王(12月)の訪日など中東諸国との活発な首脳外交が繰り広げられた。9月には「第2回中東文化交流・対話ミッション」(注1)をイラン、ヨルダンへ派遣し、11月には、「第3回イスラム世界との文明間対話セミナー」(注2)をイランで開催した。また、3月及び2005年1月には、「日本・アラブ対話フォーラム」(注3)をそれぞれエジプトとサウジアラビアで開催した。こうした努力もあり、5月にチュニジアで開催されたアラブ首脳会議に日本が初めて招待されたことは特筆に値するものである。

 



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