第2章 地域別に見た外交 |
2 中央アジア・コーカサス
中央アジア及びコーカサス諸国は、独立から13年を経過した現在、アゼルバイジャンやグルジアでは新世代の指導者への世代交代が行われ、中央アジアのキルギス、タジキスタン、カザフスタン、ウズベキスタンは、今後、それぞれ大統領の任期満了に伴う選挙の時期を迎えることとなる。経済面では、経済の復興・成長を基調としつつも、エネルギー資源に恵まれた諸国と持たざる国々との経済格差が増大する傾向が見られるなど、各国の政治・経済面における多様化が進んでいる。
グルジアにおいては、2003年の「バラ革命」後に選出されたサーカシヴィリ大統領が腐敗撲滅などの改革姿勢を強く打ち出すとともに、分離傾向を強めるアブハジア、南オセチア、アジャリアの問題を解決して国家統一を実現することを公約に掲げ、2004年5月にアジャリアを実効的な統治下に置いたが、アブハジア及び南オセチアを巡る情勢は引き続き不透明である。
地域協力の動きとしては、6月に上海協力機構首脳会議がタシケント(ウズベキスタン)で開催されたほか、「中央アジア協力機構」(CACO)にロシアが加盟するなど、この地域をめぐり中露両国の積極的な動きが見られる。
日本は、1992年に中央アジア及びコーカサス諸国との外交関係を樹立して以降、これら諸国は、ロシア、中国、南西アジア、中東に接するとの地政学的な重要性を有し、豊富なエネルギー資源に恵まれた地域であり、その安定と発展はユーラシア大陸全体の安定と繁栄にとり極めて重要であるとの観点から、「対シルクロード外交」の下、市場経済化と民主化への支援を通じた国づくりの努力を積極的に支援すべく、1)政治対話、2)経済協力・資源開発協力、3)平和のための協力を三本柱として関係強化に取り組んできた。
2004年8月には、こうした取組を新たな段階に進めるため、川口外務大臣(当時)が中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン及びキルギス)を歴訪し、今後、中央アジア各国との二国間関係の増進を引き続き図りつつ、同地域の地域内協力等を促進するための対話を推進するという新たな方針について、政策演説を行った。また、日本と中央アジア全体との対話の枠組みとして「中央アジア+日本」対話を立ち上げ、その初の外相会合を行った。日本は同枠組みを通じて、今後、この地域との関係強化に積極的に取り組んでいく方針である。
2005年1月、日本は中央アジアで5公館目となる在トルクメニスタン大使館を開設し、これにより日本は中央アジア全5か国に在外公館を開設した。なお、在カザフスタン大使館は、同年1月、アルマティから首都アスタナに移転した。
ハイレベルの人的交流としては、アイトマートフ・キルギス外務大臣の訪日(1月)、松宮外務大臣政務官のウズベキスタン訪問(3月)、アカーエフ・キルギス大統領の訪日(4月)、橋本元総理大臣のカザフスタン訪問(5月)、前述の川口外務大臣の中央アジア4か国訪問等が行われた。
▲「中央アジア+日本」対話・外相会合後に共同記者会見を行う川口外務大臣(8月)
前の項目に戻る ![]() ![]() |
![]() ![]() |