第2章 地域別に見た外交


第4節 欧州

【総論】
 2004年の欧州における大きな動きとしては、欧州連合(EU)が中・東欧諸国等の10か国を新たに加盟国に迎え、25か国で構成されるに至ったことがまず挙げられる。加盟国が増加したことで、EUの人口は日本の人口の4倍近くの約4.6億人となり、国内総生産については日本の約2.5倍である約11兆ドルを擁することとなった。さらに、現在、欧州憲法条約の署名、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、トルコのEU加盟に向けた動きなども見られている。これにより、国際社会が直面する地球規模の諸課題への取組において、国際会議等の場でEU25か国が一つの声で発言することなどにより、EUの国際社会における影響力は一層増していくと考えられる。したがって、EUとの対話を一層深め、協力・協調関係を進展させていくことが今後ますます重要となる。
 また、日欧関係をさらに強固なものとし、日本外交の幅を広げていくためには、このようなEUとの関係のみならず、欧州各国との二国間関係の強化・推進が必要である。国連安全保障理事会常任理事国である英国やフランス、これらに加えてG8のメンバーであるドイツやイタリアといった欧州主要国との関係の強化はもちろんのこと、経済的重要性を増している中・東欧諸国や国際社会での役割を強化しつつあるスペインやノルウェー等の諸国とも、政治・経済の両面において緊密な関係を構築し、人的・文化的交流を深めていくことが重要である。
 特に人的・文化的交流の分野では2005年の「日・EU市民交流年」の準備として、日本及びEU加盟国(注1)において実行委員会等が発足し、7月より日本及びEU加盟国において日・EU市民交流年の事業登録の申請が開始された。



▲G8シーアイランド・サミットの際に、ブレア首相との会談に臨む小泉総理大臣(6月 提供:内閣広報室)

 



テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む