第2章 地域別に見た外交 第4節


(注1) 実行委員会、事業促進委員会等の現地協力団体が2004年中に設置された国は、ギリシャ、英国、ハンガリー、オーストリア、デンマーク、スロバキア、チェコ、フィンランドの8か国。2004年末までに日本国内で約100件、EU加盟国で約300件の事業が登録された。

(注2) International Criminal Tribunal for the Former Yugoslaviaの略。ICTYから起訴されているゴトヴィナ元南部ダルマチア司令官が依然逃亡中であり、クロアチア政府へのICTYからの圧力が高まっていたが、2004年3月、新たに起訴された8名の元クロアチア軍将校がICTYに出頭したため、サナーデル政権はICTYから協力的と評価されることとなった。

(注3) 「欧州憲法条約」を起案するために2002年2月に設置。ジスカール・デスタンが議長(元仏大統領)。

(注4) 意思決定を効率化させるために機構面が議論された際、特定多数決の票決方式、欧州議会議員数、欧州委員数について、人口の多い諸国は、各国の人口比率を重視するよう主張していた。しかし、人口の少ない諸国は、人口の大きい諸国が主導することにより自国の意見が反映されなくなるのではないかとの懸念を表明していた。

(注5) 欧州理事会常任議長及びEU外相の創設、欧州委員会委員長の権限強化、人口比率を加味した特定多数決の適用範囲拡大などの機構改革により、EUの意思決定や政策実施、対外関係について効率化を図る目的で起草された条約。

(注6) EUの外交の「顔」と「声」としての役割を期待される共通外交安全保障政策(CFSP)上級代表ポストが創設され、ソラナNATO前事務総長(当時)が同ポストに就任。また、CFSPの一部として欧州安全保障防衛政策(ESDP)に関する規定を設定。

(注7) EUの外交及び安全保障政策の全ての分野を含むもので、「EUの共通の価値及び基本的利益、独立及び一体性の擁護」、「EUの安全保障の強化」、「平和維持及び国際安全保障の強化」、「国際協調の推進」、「民主主義及び法の支配、人権及び基本的自由の尊重の発展・強化」を目的とする。

(注8) EUの安全保障防衛政策であり、その任務として1)人道・救援活動、2)平和維持活動、3)危機管理における平和創設を含む戦闘任務を遂行する。この任務遂行を担保するため、欧州理はEUに以下の軍事および非軍事的能力目標を課している。
 軍事能力:1)EUは60日以内に、少なくとも1年間活動を維持できる、6万人までの部隊を展開できる。2)EUは2007年までに緊急展開可能なバトルグループ(BG)を創設する。
 非軍事能力:EUは1)警察、2)法の支配の強化、3)文民行政の強化、4)文民の保護の4分野において対応能力を有する。警察に関しては、各加盟国が、紛争予防や危機管理ミッションのために5,000人の警察官を提供し、そのうち1,000人を30日以内に配置する。

(注9) 具体的には、1)危機管理の分野における防衛能力の開発、2)欧州防衛協力の促進・強化、3)欧州防衛産業及び技術基盤の強化を目的とした政策の策定・実行、4)将来の防衛安全保障能力に関する要求に応えるための研究促進を行っている。

(注10) 「ヘッドライン目標2003」:2003年までにEUとして保有すべき軍事能力すなわちEUは60日以内に、少なくとも1年間活動を維持できる、6万人までの部隊を展開することを目標とする。

(注11) 「ヘッドライン目標2010」:危機管理オペレーションに際し迅速な行動をもって対応する能力を2010年までに備えるとの決意を示した文書であり、2007年までにバトル・グループの準備を完了することを目標とする。

(注12) バトル・グループ(BG):1,500名程度の人員で構成され、5~10日以内に紛争地域に投入でき、初期作戦において30日間活動できる能力を有する部隊。

(注13) 「ヘッドライン目標2008」:EUが諸危機に際し迅速かつ効果的に対応するため、2008年までの作業及び課題に対し、必要となる民生能力を特定し、かつ、構築するために必要に応じて目標を設置するもの。

(注14) 2004年7月16日に開始され、グルジア政府の刑事司法システムの改革等の緊急課題への取組を支援するもの。西バルカンとアフリカ以外の初のESDPミッションであり、規模は10名程度、任期は1年とされている。

(注15) 2004年11月のEU総務・対外関係理事会において、アルテア作戦の実施計画を承認。NATO主導の安定化部隊(SFOR)からEUへの権限移譲は2004年12月2日に行われた。右作戦はNATOのアセットを活用するEUにとって最大の軍事作戦(7,000名規模)である。

(注16) 単年度財政赤字対GDP比率3%等の基準を引き続き堅持しつつ、(イ)財政の持続可能性(政府債務残高)の重視、(ロ)各国特有の経済情勢の考慮、(ハ)各国の不適切な財政政策を修正するための早期行動に一層の重点を置いて、過剰財政赤字の予防を重視しながら、安定成長協定をより弾力的に運用する方向性となっている。

(注17) 定期首脳協議を踏まえ日・EU間の重要課題について発表するもの。

(注18) 2004年11月の町村孝外務大臣のフランス、英国訪問、また、3月のパーション・スウェーデン首相及びドビルパン・フランス外相、4月のゴウヴェイア・ポルトガル外相、5月のペターシェン・ノルウェー外相、6月のアハーン・アイルランド首相(日・EU定期首脳協議出席のため)、10月のダイス・スイス大統領、ハロネン・フィンランド大統領、ジュルチャーニ・ハンガリー首相、リューテル・エストニア大統領及びベラルディ・サンマリノ外務長官、11月のムラー・デンマーク外相(マルグレーテ女王陛下国賓訪日への随行)、12月のシュレーダー・ドイツ首相及びサクスコブルク・ブルガリア首相の訪日が挙げられる。

(注19) 国連総会(9月)の際には川口順子外務大臣(当時)が、フラッティーニ・イタリア外相、ペターシェン・ノルウェー外相、バルニエ・フランス外相、フィッシャー・ドイツ外相とそれぞれ会談を行った。また、11月に開催されたイラクに関する国際会議では、町村外務大臣がストロー英外相、ボット・オランダ外相、フィッシャー・ドイツ外相とそれぞれ会談を行った。さらに、2005年1月にはタイで日独外相会談が行われ、スマトラ沖地震及びインド津波被害対策についても話し合われた。

(注20) この会議には、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、マケドニア、セルビア・モンテネグロの閣僚等や国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)、コソボ暫定自治政府をはじめ39か国12国際機関の関係者が出席した。

(注21) 項目別に国毎のコミットメントを記載しており、NATOがその履行をモニターしていくことにより、全体としてNATOの能力向上を図ることを狙いとし、特に戦略的航空輸送能力の増加、空中給油能力の強化、精密誘導兵器の増加、展開可能な戦闘支援及び戦闘支援部隊に関する能力強化、NBC兵器に対する防御装備の調達加速、NATO地上監視システムの2005年までの設計完成等を目指すことを内容とする首脳間の合意。

(注22) NATO即応部隊の設置は、プラハ首脳会合における米国の提案を受けて決定されたもので、NATO史上初めて単一指揮官が、陸海空及び特殊部隊を統括する統合部隊として設立。任務は、非戦闘員退避作戦(NEO)、テロとの闘い支援及び緊急事態対処作戦等であり、その能力は、機動展開命令受領後、5日目には展開でき、30日間独立した戦闘が可能。2006年10月までに完全な作戦能力(21,000名)を有する部隊とすること目標としている。

(注23) 1999年のワシントン首脳会合で採択された「新戦略概念」で、北大西洋条約第5条(集団防衛)をNATOの基本的任務として維持しつつも、欧州の安全保障機構として欧州・大西洋地域の平和と安定に対しより大きな役割を果たすとの方針が明示され、第5条以外の活動を非5条任務として位置づけた。

(注24) 2001年12月、安保理決議1356の採択を受け、アフガニスタンのカブール及び同周辺地域の治安維持を目的に設立、任期は6か月。

(注25) PfP(平和のためのパートナーシップ):NATOと非NATO欧州各国(全OSCE参加国を対象とするが主対象は旧ワルシャワ条約機構諸国)との間で、それら諸国の実情に合わせ軍事面を中心に各種協力(軍の民主的統制に関するセミナー開催、PKOにかかる共同演習等)を約束するもの。

(注26) 地中海ダイアローグ:NATOと地中海諸国との間で1994年に設立した枠組みで、地域の安全と安定、NATO及び地中海諸国間の相互理解を目的とする。地中海の安全と安定が欧州の安全に密接に関わるという考え方を反映しており、NATOのアウトリーチ及び協力政策の重要な一環を成す。地中海諸国からは、アルジェリア、エジプト、イスラエル、ヨルダン、モーリタニア、モロッコ、チュニジアの7か国が参加。

(注27) 米、カナダ及び欧州から中央アジアに至る55か国が加盟する地域的国際機関。OSCEの特徴は、(1)冷戦中においては欧州の東西両ブロックを包含し、東西対話の場を提供して緊張緩和に貢献、(2)特に冷戦後は軍事・政治、経済、民主・人権といった包括的な分野において、予防外交(紛争当事者に対する早期警告、事実調査等)、紛争予防を基本とした活動を行っている点にある。また、選挙監視の分野では域外においても活動を行う等高い信頼度を有している。

(注28) 1949年、人権、民主主義、法の支配という価値観を共有する西欧10か国がその実現のための加盟国間の協調を拡大することを目的として、フランスのストラスブールに設置した国際機関。現在の加盟国は46か国。日本は1996年に欧州評議会閣僚委員会のオブザーバー国となった。

(注29) OSCE選挙監視団:2004年は、グルジア大統領選挙・議会選挙、マケドニア国民投票、ベラルーシ議会選挙及びウクライナ大統領選挙のOSCE選挙監視団へ要員を派遣。

(注30) OSCEトロイカ:OSCE議長国:ブルガリア、前議長国:オランダ、次期議長国:スロベニア(2004年現在)。