第2章 地域別に見た外交 |
【対主要国外交:総理の主要国訪問】
小泉総理大臣は、2004年9月に、経済規模及び政治的影響力の大きさから中南米の主要国であるブラジル及びメキシコを、11月には、APEC首脳会議出席後に、政治の民主化、経済の近代化に中南米地域で最も成功した国として高い評価を得ているチリを訪問した。
ブラジルにおいては、ルーラ大統領と初めて首脳会談を行い、国連安保理改革について、常任・非常任理事国双方の議席を拡大する形で安保理改革を行う必要性につき認識を共有の上、常任理事国候補であることにつき相互に支持を表明した。このほか、二国間及び日・メルコスール間の経済関係の再活性化に向けた資源開発、インフラ整備等の分野での官民を挙げた協力の推進、WTOや軍縮・不拡散等の双方の共通の関心事項である国際的課題についての協力、さらに2008年(日本人のブラジル移住100周年)を「日本ブラジル交流年」として慶賀することなどについても一致し、これら訪問の成果をまとめた日・ブラジル共同声明を発出した。
▲ブラジルでの歓迎式典に臨む小泉総理大臣(9月 提供:内閣広報室)
メキシコにおいては、フォックス大統領との間で、日・メキシコ経済連携協定(日・メキシコEPA)に署名し、日・メキシコEPAの活用を通じた両国間の貿易投資関係の増進を両国民に呼びかける共同声明を発出した。また、地域統合の進展により潜在力を高めている中米地域に対し、日本とメキシコが共同して支援に取り組むことにつき一致を見たほか、国連改革の必要性につき認識を共有した。さらに、日・メキシコ両国友好の基礎となる文化交流の重要性についても確認され、有識者間の日・メキシコ文化サミットの開催支援、日本のセルバンティーノ国際芸術祭(注2)への参加、メキシコの愛・地球博への参加など両国民の相互理解を促進する行事についても幅広く議論を行った。この訪問を通じて、これらの分野での関係が強化され両国間の「戦略的パートナーシップ」(注3)の深化が達成された。なお、日本にとって二番目のEPAとなる日・メキシコEPAは、2005年4月1日に発効し、これにより、ASEANと同程度の経済規模を有し、既に多くの国々と自由貿易協定(FTA)を締結しているメキシコにおいて、日本企業が欧米企業に比べて被っていた不利益が解消されるのみならず、そのFTAのネットワークを通じ、日本企業が米州地域等へ進出するための足掛かりが築かれることになる。
チリにおいては、ラゴス大統領との首脳会談において、日・チリ間の経済関係の強化に向けたEPA/FTA締結の可能性について検討するため、両国の産学官からなる共同研究会を立ち上げることで一致を見た。さらに、「日本・チリ21世紀委員会」(有識者会合)の再活性化について話し合われ、両国の有識者の方々に、中長期的視点に立って日本とチリとの今後の関係発展について議論してもらうため、新たに「日本・チリ賢人会議」を設置することとなった。また、国連安保理改革についても、両首脳は常任・非常任理事国双方の議席を拡大する形で安保理改革を行っていくことの必要性につき認識が共有され、ラゴス大統領より日本の常任理事国入りへの支持が重ねて表明された。また、算数教育、IT分野における日本の技術協力、環境分野における協力促進等二国間協力についても話し合われた。
▲経済連携協定(日・メキシコEPA)に署名した小泉総理大臣とフォックス・メキシコ大統領(9月 提供:内閣広報室)
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