第5章 海外の日本人・日本企業に対する支援 

知的財産権保護
 近年、アジア地域を中心に模倣品・海賊版の被害が拡大しており、海外市場における潜在的な利益の喪失も含め、日本企業に深刻な悪影響を与えている。このため、知的財産権の侵害が発生している各国に対し、外交の場を通じて知的財産権の保護強化を申し入れ、海外市場における日本企業の経済活動を支援することは、日本企業の国際競争力の強化、経済の活性化の重要な要素である。外務省としては、総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部において2003年7月に策定された「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」に沿って模倣品・海賊版の対策に関する施策を推進している。
 多国間での取組では、世界貿易機関(WTO)の知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)に基づく法令レビューや貿易政策検討制度(TPRM)等を積極的に活用し、アジア諸国における模倣品・海賊版の取締を各国に強く要請している。世界知的所有権機関(WIPO)の協定実施諮問委員会において、加盟国一体となった模倣品・海賊版の取締の必要性を共有するよう積極的に働きかけている。二国間での取組では、2003年10月の第2回日中経済パートナーシップ協議において、中国政府に対し、知的財産権保護・取締の強化、特に、地方レベルの法執行の徹底、罰則強化等を要請する等働きかけた。さらに、開発途上国の知的財産権の所管機関の体制強化や専門家の育成のために、国際協力機構(JICA)による専門家の派遣、研修員の受入等の国際的な協力を実施している。

 

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