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知的交流、文明間対話】
知識人を通じた交流は、日本の学術水準を高めるのみならず、日本や他国に対する理解を体系化し、広く国民各層に伝える上で重要である。また、異なる価値観に開かれた文化を有する日本が、文明間の対話を促進することは、世界の平和と安定への一つの貢献として意味がある。
(1)日本研究の促進
諸外国における日本の政治、経済、文化、社会に対する研究を振興することは、対日理解を促進する鍵である。2003年は、国際交流基金を通じ、中国の北京日本学研究センターをはじめとする全世界の100を超える日本研究の拠点となる機関に対し、助成や教員の派遣、会議への助成等を行った。
(2)中東との対話
イラク情勢を受けて、9月に有識者5名からなる中東文化交流・対話ミッションをサウジアラビア、イラン、シリア、エジプトに派遣し、「伝統と近代化」のテーマで各国有識者とシンポジウムを開催するとともに、各国の要人と意見交換を行った。その結果を日本と中東との交流の促進のあり方として提言にまとめ、小泉総理大臣に提出した。また、10月には、バーレーンとの共催により、第2回イスラム世界との文明間対話セミナーを開催し、「平和と人間開発」とのテーマで、日本とイスラム諸国12か国及びアラブ連盟の有識者29名が議論を行った。
(3)アジア、米国等との知的交流
「日米文化教育交流会議(カルコン)」は、1961年に開始されて以来、日米の有識者が両国間の文化・教育分野の交流増進と相互理解の向上に向けて議論・提言を行っている。2003年は、第21回会合を宮城県仙台市において開催し、18名の有識者がインターネット教材開発や図書館協力、理数科教育の比較研究等の様々な取組について議論した。また、国際交流基金は、米国、アジア、欧州を中心に、調査研究やワークショップ、会議等の共同事業を自ら実施したり、各国の研究機関に対する助成やフェローシップの供与を通じ、知的交流を促進している。