第3章 分野別に見た外交 

エネルギー安全保障
 日本はエネルギーの80%以上を海外に依存しており、その約半分を占める石油は99%以上を輸入しているため、その安定供給の確保(エネルギー安全保障)は、日本の外交政策の重要な課題である。
 石油供給の途絶といった緊急時における対応策については、国際エネルギー機関(IEA)等を通じて他の先進国と協調して取り組んでいる。特に、2003年は年頭よりイラク情勢緊迫化の影響で日本が原油輸入の87%を依存する中東地域からの石油供給の減少が懸念されたため、IEA加盟国間及び非加盟国との調整や産油国との協議を通じ、供給減少に備えた。その結果、価格の暴騰等の事態は回避され、その意義は4月のIEA閣僚理事会においても加盟国間で高く評価された。
 また、近年、顕著なエネルギー需要の伸びを示すアジア地域では、緊急時対応体制の整備がエネルギー安全保障の観点から重要となっている。日本も、2003年は、10月のAPECにおける「エネルギー・セキュリティ・イニシアティブ実施計画」の策定や、12月の日・ASEAN特別首脳会議で採択された「日・ASEAN東京宣言」におけるエネルギー安全保障に係る関係国の共同行動の策定に主導的役割を果たすなどして、地域のエネルギー安全保障強化のため協力している。
 さらに、伝統的な二国間関係の強化に加え、国際エネルギー機関(IEA)、多国間では、生産国と消費国の対話の場である国際エネルギー・フォーラム(IEF)や、新エネルギーとして注目される水素についてその生産、輸送等における国際協力を目的とする「水素経済のための国際パートナーシップ」等にも積極的に参画している。

 
原油価格の推移

原油価格の推移
Excel形式のファイルはこちら


 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む