第2章 地域別に見た外交 

ASEAN+3
 6月、カンボジアで開催されたASEAN+3(日中韓)外相会議においては、川口外務大臣は、朝鮮半島の非核化と核兵器開発計画の撤廃、多国間の対話の実施、及び北朝鮮による日本人拉致の問題についての日本の立場を説明し、その結果、ASEAN+3議長声明では、未解決の安全保障問題及び人道上の問題が対話の強化を通じ解決されるべきことが明記された。開発については、「ASEANの一体性強化のためのイニシアティブ」を提唱し、ASEAN内の経済格差是正に向け、人材育成、制度構築、メコン地域開発等に取り組むとの方針を明確にし、各国より高い評価を得た。また、日本より、東アジア開発イニシアティブ(IDEA)の今後の取りまとめ方等について説明したのに対し、ASEAN側から支持を表明した。
 10月、バリで開催されたASEAN+3(日中韓)首脳会議では、各国首脳は、ASEAN+3を具体的なプロジェクトで進展させていくべきとの観点を提起した。
 経済面では、小泉総理大臣は、アジア債券市場の育成、情報通信分野での協力、エネルギーや食糧安全保障等の分野における協力を推進することの重要性を指摘し、各国首脳より支持が表明された。また、日・ASEAN包括的経済連携構想が二国間でも地域全体でも進展していることに言及し、日本の取組をはじめこの地域における様々な経済連携の取組が東アジア全体の経済活動の活性化と競争力の強化につながることを期待する旨発言した。中国より東アジアの自由貿易地域の可能性についての研究を検討するべきこと、韓国より韓・ASEAN包括的経済連携構想を進めたい旨発言があった。
 さらに、東アジア・スタディ・グループ(EASG)の提言の実施に関し、小泉総理大臣は、日本のイニシアティブにより本首脳会議に提出された人の交流・人材育成促進に関する有識者会合の報告書を踏まえて、今後政府関係者と有識者からなる共同作業部会を開催することを提案し、また、EASGの提言にある「東アジア研究」を実施する用意がある旨の提案も行い、両提案とも多くの国の賛同を得た。
 開発については、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)についてのASEANの主体的取組に積極的に協力するとの方針及びメコン地域開発やBIMP-EAGA(東ASEAN成長地域)への支援の重要性に言及した。
 また、ASEAN+3の中で、海賊協定といった国境を越える問題の分野における協力の重要性を指摘し、他の首脳からも安全保障の問題の重要性について指摘があった。
 東アジアの今後のあり方に関しては、多くの首脳より、東アジア・サミットの開催の可能性についての発言が相次いだ。

 

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