第2章 地域別に見た外交 

6 地域協力

【総論】
 国家間の関係が多層化し複雑化しつつある中で、国連や世界貿易機関(WTO)等のグローバルな機関だけでは対処しきれない、あるいは目の行き届かない事柄が多く現出しつつある。このような課題に対しては、日中韓三国間協力、ASEAN+3といった地域内協力の強化、アジア太平洋経済協力(APEC)、アジア欧州会合(ASEM)、アジア協力対話(ACD)といった地域間協力の推進によって対処していくことがますます重要となっている。また、テロ、人の密輸、海賊、薬物、感染症、エネルギーなどの国境を越える問題については、インド、オーストラリア、ニュージーランド等を含めた協力の輪が拡大しており、広い視野から機能的かつ効果的な協力を進めていく必要がある。
 日本は、東アジア地域におけるこうした地域協力が、〔1〕地域内の安定性を確保しつつ進むと同時に地域全体の近代化(民主化、市場整備等)を推進するものとなること、〔2〕単なる政治的意思の表明ではなく、実質的内容を伴う形で進むこと、〔3〕経済分野の協力から出発しつつも中長期的には政治面でのガヴァナンスにも及ぶ方向性(民主的統治)を視野に入れつつ進むこと、〔4〕グローバルガヴァナンス(国際機関等を通じた国際社会のマネージメント)と衝突せず相互補完する形で進むこと、等の諸点を踏まえて行われることが重要であると考えており、このような考えに基づいて東アジア地域における地域協力を積極的に推進している。

 
アジア太平洋地域における地域協力・地域間協力の枠組み

アジア太平洋地域における地域協力・地域間協力の枠組み

 

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