【太平洋島嶼国】
2003年は、ミクロネシア(3月)、キリバス(5月)、ナウル(5月)、マーシャル(11月)でそれぞれ総選挙が実施された。ミクロネシア及びキリバスではそれぞれウルセマル、アノテ・トンが新大統領に選出された。ナウルでは年初から政権交代が続いたが、結局8月に再びハリスが大統領に選出され、また、マーシャルでは2004年1月、ノート大統領が再選された。
フィジーでは、2001年の民主的選挙により成立したガラセ政権の組閣について、主要野党議員も入閣させなければならないとの同国の憲法規定に違反するとして司法の判断を仰ぐ事態となったが、最高裁は2003年7月に、ガラセ首相に野党労働党を含めた内閣を作るよう命令を出した。ガラセ首相は労働党を含めた組閣案を提示したが、入閣者数をめぐり調整がつかず、2004年6月に再度最高裁により判断が下されることとなった。
ソロモンでは、法秩序と治安の悪化が深刻化したため、2003年4月、ケマケザ首相がハワード・オーストラリア首相に対し支援を打診した。7月初めのPIF緊急外相会合において、オーストラリアが中心となって、法秩序と治安回復のための支援策が合意され、ソロモン政府の正式要請を受け、オーストラリアをはじめとしたPIF加盟国がソロモン地域支援ミッション(RAMSI)として7月末から警察、軍部隊を派遣した。ソロモンの治安改善に伴い、2004年半ばまでに軍関係者の規模が大幅に縮小される予定であるが、引き続き警察の能力改善や国家財政を含む統治機能の自立、改善へ向けた協力が行われる予定である。
また、キリバスが、2003年11月、台湾との外交関係を樹立し、中国との国交を断絶した。現在、台湾と外交関係を有する太平洋島嶼国は、キリバス、マーシャル、パラオ、ソロモン、ツバルの5か国となっている。
日本との関係では、2003年5月16日及び17日の両日、沖縄において、PIFに加盟する16か国・地域の首脳等(但しナウルは欠席)の参加の下、第3回日・PIF首脳会議(太平洋・島サミット)を開催した。このサミットでは、小泉総理大臣とガラセPIF議長(フィジー首相)が共同議長を務め、安全保障、環境、教育・人材育成、保健・衛生、貿易・経済成長について協議し、太平洋島嶼地域の「持続可能な開発」の実現に向けて、「より豊かで安全な太平洋のための地域開発戦略及び共同行動計画」を「沖縄イニシアティブ」として採択した。ここでは、島嶼国のオーナーシップを尊重しながら日本が具体的な協力を積み重ねる点が強調されている。また、対島嶼国援助の60%を占める日本・オーストラリア・ニュージーランド3か国で、島嶼国援助における協力に向けた共同文書を発表した。
6月にはノート・マーシャル大統領が日本を公式訪問し、小泉総理大臣等と会談を行った。8月には矢野外務副大臣がニュージーランドの第15回PIF域外国対話に日本政府を代表して出席し、「沖縄イニシアティブ」のフォローアップやソロモンにおける法と秩序の回復のための支援について協議した。同副大臣は、引き続きオーストラリアでダウナー外務大臣と7月のハワード首相訪日のフォローアップやソロモンについての意見交換等を行い、またソロモンでは、政府要人及びRAMSI関係者との会談や法と秩序の回復の進展の状況等現地視察を行った。さらにバヌアツでは、政府要人との会談や日本のODAプロジェクトの視察を行った。