【日・ASEAN関係】
長年の交流を通じ、日本とASEANは、互いに相手を必要とする「共に歩み、共に進む」極めて重要なパートナー同士となっている。経済面では、ASEANにとり日本は米国と並ぶ最大の貿易相手であり、日本にとってASEANは米国に次ぐ第2の貿易相手である。また、ASEANは、日本にとって東アジア地域で最大の投資先であり、ASEANにとっても、日本は最大の投資国である。さらに、ASEANにとり、日本は最大の二国間ODA供与国であり、日本のODAの約3割はASEAN向けである。人の交流も活発であり、ASEANにとり域外最大の旅行者は日本からの旅行者であり、日本人にとってもASEANは米国に次ぐ主要な旅行先である。

日本とASEAN(貿易・投資及び経済協力・旅行者数)
このような30有余年に及ぶ日本とASEANの友好協力関係を回顧し、特別の絆を再確認するだけでなく、首脳レベルで、幅広い分野にわたり今後の日・ASEAN関係の目指すべき方向性を打ち出すべく、2003年12月11日、12日の両日、東京において、日・ASEAN特別首脳会議が開催された。同会議は、ASEAN諸国の全首脳が初めて域外国に一堂に会し、当該域外国首脳とともに開催する歴史的な意義を有するものである。同会議では日本のASEAN重視政策は不変であることが改めて明確にされたほか、経済、開発のみならず、政治・安全保障分野のパートナーシップに協力を拡大すべきこと、及び日本とASEANは、東アジア・コミュニティづくりの推進のために協力していくことで一致した。
日本ASEAN交流年2003の概観
▼日・ASEAN特別首脳会議の際に交流年記念事業として行われた「虹の舞」(12月)
また、日本は、ODAの供与においてASEANに引き続き優先度を与える旨を明確にするとともに、人材育成のため、今後3年間で15億ドルを超える協力を行う用意があり、人材育成に関わる日・ASEAN間の人の交流が今後3年間で4万人規模と見込まれる旨表明した。メコン地域開発(今後3年間で約15億ドルの協力が見込まれる旨表明)、BIMP-EAGA(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン-東ASEAN成長地域)等統合強化・域内格差是正のための取組への支援を表明した。
さらに、新時代の日・ASEAN関係の目指すべき方向性を規定し、その基本原則として「法の支配」、「人権及び基本的自由の擁護と促進」、「公正で民主的な環境」、「アジアの伝統と価値観の重要性」を確認し、包括的経済連携の更なる推進、東アジア・コミュニティ創造に向け日・ASEANが協力していくこと等を規定した「東京宣言」を発出した。同時に「東京宣言」の附属書として、約120もの具体的な日・ASEAN協力措置を盛り込んだ「日本ASEAN行動計画」を発出し、原理原則にとどまらず、具体的な施策をもって日・ASEAN協力を拡大・深化させていく方針を示した。
さらに、日本の東南アジア友好協力条約(TAC)の締結の意図を表明する宣言への署名を行い、日本がASEANと「共に歩み、共に進む」という友好協力関係にコミットしていくことを明確に示した。
その他、同首脳会議の機会を捉えて、ASEAN10か国すべてと首脳レベル及び外相レベルの会談を行い、タイ、フィリピン、マレーシアとの首脳会談では、二国間経済連携協定の交渉の開始を決定した。