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台湾
台湾では、2000年5月に、それまで50年以上政権の座にあった国民党に替わり、民進党・陳水扁(ちんすいへん)政権が誕生した。民進党は、2001年12月の立法院選挙において、国民党を抑え第1党となったが、与野党の勢力は依然としてほぼ拮抗状態にある。2003年は、次期総統選挙を控え、野党が連戦(れんせん)・国民党主席と宋楚瑜(そうそゆ)・親民党主席を正副総統候補とする協力を結び、与野党が激しい選挙戦をくり広げた。2004年3月の総統選挙では、陳水扁総統が0.22%という僅差で当選した旨が中央選挙委員会より発表されたが、これに対し、連戦候補側より、選挙当選無効の訴訟が提起されている。
2003年の台湾経済は、第2四半期にSARSの影響を受けたものの年間成長率は3.24%となり、景気は徐々に回復しつつある。また、失業率は過去最悪だった2002年の5.17%から5.0%となった。
両岸関係は、陳水扁総統が2002年8月に「中国と台湾は別々の国(一辺一国)」と述べたのに続き、2003年には公民投票の実施や新憲法の制定等を相次いで打ち出したことや、台湾を正式の国名にしようとする「正名運動」が高まりを見せたことなどから緊張が高まり、2003年も両岸対話は再開されなかった。その一方で、2003年1月には台湾の旅客機による中国大陸への乗り入れが実現するなど、両岸間の経済交流はますます増大しており、今や中国大陸は台湾にとって最大の輸出市場となっている。
日本と台湾の関係については、1972年の日中共同声明に従って、非政府間の実務関係として維持している。日本にとって台湾は緊密な経済関係を有する重要な地域であり、台湾は日本の貿易相手先として、総額で米国、中国、韓国に次ぐ第4位となっている。
両岸関係については、日本は、当事者間の直接の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望しており、そのために、両岸対話が早期に再開されることを期待している旨を累次表明している。2003年末には、公民投票などの動き等が中台関係をいたずらに緊張させる結果となったことを受け、台湾に対し慎重な対処を求める旨の申し入れを行うとともに、中国側に対しても台湾問題の平和的解決の重要性を繰り返し表明した。